2019 Fiscal Year Research-status Report
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19K03847
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
横山 修一 京都大学, 基礎物理学研究所, 研究員 (50773389)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 量子重力理論 / ホログラフィー / 場の量子論 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度の具体的な研究目標は「共形場理論の励起状態に対応する双対重力理論の誘導計量を求める」ことであった。この目標を達成するために、最も簡単な自由O(N)ベクトル模型と呼ばれる共形場理論を用いて、京都大学基礎物理学研究所(以下基研)所属の青木愼也(以下敬称略)と素粒子原子核研究所ウィグナー研究センター所属のJanos Balogと共同研究を行った。私と青木は同じ基研所属であるため常日頃研究結果について議論を交わし、Balogとは主にメールのやり取りで共同研究を行ったが、Balogは昨年度2月に2週間ほど基研に滞在して議論を交わした。その結果、O(N)ベクトル模型のある一般的な励起状態に対してその誘導計量を求めることができた。この意味で当初の目的は達成されたと言えるが、まだ論文にはなっていない。論文にするためには、重力理論側で対応する励起状態について同定しある程度の定量的評価を行う必要である。我々が得た計算結果は非常に複雑であるため、この結果を簡単化して評価を行わなければならない。この点について現在研究中である。
その一方、一昨年度青木氏と京都大学理学系研究科の吉田健太郎との共同研究で、フロー方程式の方法を非相対論的共形場理論に適用することで新しい時空を発見し「非相対論的混合幾何」と命名した。当該年度はこの時空を解として持つような重力理論に関して青木、吉田、Balogと共同研究を行った。その結果、フロー方程式とホログラフィーの知識を組み合わせることでそのような重力理論が自然に構成できることが判明した。特に、今回用いたフロー方程式に表れるパラメータが重力理論側では一般座標変換に対するゲージ自由度に対応することを突き止めた。以上のことを論文にまとめ専門誌に投稿し受理された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当該年度の研究目標である「共形場理論の励起状態に対応する双対重力理論の誘導計量を求める」ことは達成できたため、この研究計画はおおむね順調に進展していると言ってよい。「研究実績の概要」の項目で述べたように、論文にするにはまだ詰めなければいけない部分があり、この部分は丁寧に詰めていく必要がある。
その一方、当該年度の後半から上記研究目標以外にも本年度の研究目標である「フロー方程式を用いてブラックホールを実現する」ことや「フロー方程式を用いてドジッター時空を実現する」ことも同時並行で行い順調に進んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はまず当該年度に達成した結果を論文にするべく議論を詰める作業を行う。本年度の夏季に共同研究者のBalogが基研に滞在する予定なので、そのときに一気呵成に仕上げたい。
このことを達成し、本年度の目標である相互作用を加えて結果を拡張する研究に進んでいきたい。
また同時並行で行っていた本年度の目標であるブラックホールの実現やドジッター時空の構成について研究を進め、論文を書いて雑誌に投稿し受理されることを目指す。国際会議の出席はコロナウィルスの影響を注視しながら行っていく。
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Causes of Carryover |
該当年度は年度末に一度研究会の招集を考えていたが、共同研究者のBalogが年度末に滞在することが決まったため、研究会は翌年以降に一旦持ち越すこととした。ただし、コロナウィルスの影響があるため、状況を見て予算の執行を考える。
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