2021 Fiscal Year Research-status Report
Color confinemet and non-perturbative mechanism of QCD due to gauge-field singularities
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19K03848
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
鈴木 恒雄 大阪大学, 核物理研究センター, 協同研究員 (60019502)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | QCD / カラーの閉じ込め / モノポール / 双対マイスナー効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.格子上で定式化されたクォーク場を含まないSU3QCDの理論を用いて、非可換ビアンキ恒等式の破れに対応する可換なモノポールが、現実の世界で、カラーの閉じ込めを実現しているかどうかをモンテカルロ計算で重点的に調べた。使った計算機は、大阪大学計算センターのSX―Aurora計算機を、HPCI Project及びRCNP共同研究で、KEKの計算機を共同研究で用いた。Abelian 電場が、モノポールで絞られ、閉じ込めの指標となる弦定数が、モノポールだけで説明されるかどうか?それと、モノポールによる閉じ込めの具体像である双対マイスナー効果の直接測定を目指した。SU2QCDに比べて、予想以上にモノポールの配位が汚く、長時間のモンテカルロ計算機実験が必要となり、大変苦労したが、ようやく24^3x4の格子でモノポールドミナンスの証拠がつかめた。さらに初めて、SU3QCDで追加のゲージ固定などの人為的な仮定なしに、カラー一個の可換電場が非可換電場と同様の浸透長で絞られていること、モノポールの密度とクォーク対との相関から、相関長を測定し、SU3QCDの閉じ込め相が、タイプ1の超磁導状態であることを直積的に測定した。SU2QCDからの事前の予想に反して、何十倍もの真空配位が必要であることが、わかり、得られたデータは、連続極限を示すには、不十分であるが、世界初の結果であり、2021年夏から秋の3回の国際会議で発表し、論文に投稿中である。 2.ゲージ固定などの真空配位を滑らかにしないと、連続極限が調べられないため、2022年に入ってからは、ゲージ固定を導入して、モノポールの連続極限を調べた。MAゲージ固定で、モノポールの密度のブロックスピン繰りこみ群での流れを調べたところ、SU2QCDと同様にきれいなスケーリング側を満たすことが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初モデルのSU2 QCDの研究結果から予測していた困難さが、まるで外れて、SU3QCDでは、格段に大変であった。まず1.通常格子上では、真空配位中の格子特有の連続極限を持たないモノポールが、たくさん出てくる。これを多くの計算では、様々な本来格子上では必要ないゲージ固定を持ち込んで、真空配位を滑らかにしてから計算するが、それでは、非可換ビアンキ恒等式の破れに対応する可換なモノポールが、ゲージによらず重要だという証明にはできないので、ゲージ固定なしに研鑽をした。SU2ではうまくいったが、SU3の場合は、SU2と比べて真空配位のなかの格子特有のこういうモノポールが格段に多く出てきて、これらの効果を避けて、連続極限の結果を売るために、とてつもなく多くの真空配位をモンテカルロ法で発生させ、平均操作を行わざるを得なかった。そのため、最初の非自明なアーベリアンドミナンスや、モノポールドミナンスの結果がでるまで、極めて長時間の計算が必要であった。ようやく、年度後半から、どちらの結果もなんとかとれるようになったが、連続極限を調べるために、より大きな格子空間で、違った結合定数での計算も進めたが、結局モノポールドミナンスが、結合定数1点でのみきれいな結果が出ただけで、それ以外は、むつかしくあきらめた。2022年に入って、いろいろな真空配位を滑らかにするゲージ固定で、モノポールの連続極限を調べる研究をはじめ、とりあえずMAゲージという方法では、モノポールに関するブロックスピン変換という方法で、きれいな連続極限が得られることが分かった。しかしMAゲージ以外の有望なMCGゲージ固定法は、SU2ではできているがSU3ではとても微妙でなかなかよい結果が得られていない。
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Strategy for Future Research Activity |
あたらしくJHPCNという大型計算機使用のProjectが2022年度も認められたので、引き続き大阪大学の計算機を利用して、 1.様々な滑らかなゲージ固定を持ち込んで、モノポール密度やモノポールの有効作用が、SU2のようにきれいに連続極限を示すスケーリングを満たすかどうか? 2.non-Abelian Bianchi identityの破れに対応するSU3のQCDが連続極限を持つのであれば、本当の実験で、見つけられるはずである。どのような物理量をどのように探せば、見つける可能性があるかを、Quarkの入ったSU3QCDでのモンテカルロ計算で探る。最初は、あまり大きな格子でなくまた計算を非常に困難にする軽いQUARKでない扱いやすい格子上で、テスト計算を今年度は主として狙うつもりである。どのくらいの時間がかかるか今のところすぐには評価できない。
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Causes of Carryover |
コロナの流行で、いろいろな会議がオンラインとなり、旅費の使用ができなかったのが一番大きい。また計算費もHPCIというprojectに採用され、少額で済んだことも大きい。
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