2021 Fiscal Year Research-status Report
Exploring neutron stars and black holes via variable phenomena in magnetospheres
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19K03850
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
小嶌 康史 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 教授 (10192577)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 中性子星 / 磁場 / 重力波 |
Outline of Annual Research Achievements |
中性子星の内部に、表面以上に強い磁場があることを観測的に示すことは難しい。ひとつの可能性として、強い磁場により生じた中性子星の球形から歪みにより重力波が発生している可能性があり、重力波天文学では、それを探査している。現状の観測精度では肯定的な結果が得られていないが、将来的に有意義な結果が期待される。中性子星のクラスト(殻)部分の磁場進化モデルを用いて、磁場により生じる形状の時間変化を考察した。局所的に磁場が強くなると、磁場のストレスが蓄積され、変形の弾性限界を超えた場合に起きる可塑性な流れ(plastic flow)を考慮した磁場の進化モデルであり、可塑性な流れがあるか否かの影響も調べた。その内容は公表論文とした。さらにその内容を現在発展させている。 強い磁場を持つ星の力学平衡の構造は依然、謎の部分が多い。磁場は重力やそれを支える圧力より遙かに小さいものの、これまで理論的にモデル構築できた磁場の条件は大幅に制限されている。中性子星のクラストの固体の弾性力を考慮に入れ、磁気中性子星の構造を考察した。弾性力は弱いものの、静水圧平衡となる磁場の条件が大幅に緩和されていることを指摘した(2編の公表論文)。表面磁場が弱いCCOと呼ばれる中性子星の種族があり、その内部には強磁場をもつ中性子星であるマグネター級の磁場があると示唆されている。そのモデルに適応可能な、強い内部磁場が弾性力を考慮することで保持できることが分かった。この課題も現在も進展中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年からのコロナ禍による社会生活の混乱があるものの、研究の取りまとめや論文公表など可能な範囲で実行できた。国内外の会議が中止やオンラインでの実施となり、予定された範囲内での検討はできたものの、(予定外の)全く異なる視野の人との会話の機会が無く、新たな着想や深い研究の理解に至らない点が本当に残念である。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度からの進展中の課題がいくつかあり、それを取りまとめる計画である。さらに、現時点で幾分コロナ禍が収束の期待があり、対面での小研究会の開催も計画されており、有意義な議論の場所として活用する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍による移動制限で、対面での研究会や会議の開催中止のため、次年度への経費となった。現時点でコロナ感染防止対策の緩和の傾向が期待され、対面での小研究会の開催など次年度で使用する予定である。
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