2022 Fiscal Year Research-status Report
Exploring neutron stars and black holes via variable phenomena in magnetospheres
Project/Area Number |
19K03850
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
小嶌 康史 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 教授 (10192577)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 高エネルギー天体現象 / 中性子星 / ブラックホール / 磁場 / 電磁流体力学 |
Outline of Annual Research Achievements |
磁場が強い中性子星(マグネター)では突発的なバースト現象が見られる。そのエネルギー源は強磁場に由来すると考えられている。磁場の時間進化に伴い、星表面付近のクラスト(殻)部分に磁場のストレスが徐々に蓄積される。その歪みが固相の弾性限界を超えた時、クラストの構造変化が突然に起き、観測されるようなバースト現象に至るという説がある。その過程を具体的に理論計算により探った。弾性限界に至るまでの時間、その間に蓄積される弾性エネルギー等を求めた。その結果、観測されている、バースト間隔時間(約数十年)で、観測されているエネルギー程度のものが蓄えられることがわかった。その内容は公表論文とした。その研究を継続発展させている。 また、クラスト(殻)部分の弾性力を考慮した、磁気中性子星の構造を求めるという、前年度からの研究結果をまとめ、公表論文とした。より現実的な中性子星のモデルに対して、弾性力を考察して、その効果を確かめた。弾性力の大きさは弱いものの、静水圧平衡となる磁場の条件が大幅に緩和されていることがわかった。 重力波天文学では、中性子星の球形から歪みがあることにより重力波を発生している可能性があり、観測的に探査されている。現状の観測精度では肯定的な結果が得られていないものの、将来的に有意義な結果が期待される。中性子星の表面にできる磁場による山(でこぼこ)を具体的に求めた。降着円盤から表面への物質の表面への降り積もりでできる過程を想定した。特に、磁場の双極子以外の成分もあることが最近の観測的に示唆されているので、それを取り入れたものである。この点は従来の研究にないものであり、結果は公表論文として出版された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍の混乱があるものの、研究成果の取りまとめや論文公表など可能な範囲で実行できた。しかしながら、国内外の会議が中止やオンラインの実施となり、より広い範囲の研究者に対して、研究発表ができなかった。その分の予算が繰り越しとなり、次年度以降の進展に役立てる。
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Strategy for Future Research Activity |
進展中の課題がいくつかあり、それを取りまとめる計画である。現在、コロナ禍の収束の方向に向かっており、対面での研究会や有意義な議論の場所を求めて、さらなる研究の発展を目指す。
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Causes of Carryover |
コロナによる移動自粛により、国内外の会議が中止やオンラインの実施となった。そのため旅費が繰り越しとなった。現在はコロナ収束の方向にあり、対面での研究会や有意義な議論の場所を求めて、費用を支出する計画である。
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