2020 Fiscal Year Research-status Report
The origin of electroweak symmetry breaking in String Theory
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19K03851
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| Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
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Principal Investigator |
北澤 敬章 東京都立大学, 理学研究科, 助教 (20271158)
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| Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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| Keywords | 超弦理論 / 超対称性の破れ / Ｄブレーン / Ｄブレーンの動力学 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
１０次元時空において定義される超弦理論の重要な構成要素として、p次元空間を占める物体であるDpブレーンというものがある。２つのDpブレーンを平行かつ互いに静止した状態におくと、超対称性のために互いの間に力が働かない（力のポテンシャルはゼロになる）。これらが互いに平行にすれ違う運動をすると、超対称性が破れて、 互いを引き止めるような力が働く。互いに引き止める力が十分に強い場合には、２つのDpブレーンによる束縛状態が成立する可能性がある。この可能性について、昨年度、特にp=3の場合について詳細に調べたが、束縛状態はできないことがわかった（ただし、複数のまとまったD3ブレーンのかたまり同士が束縛状態を作る可能性は残されている）。今年度は、全ての可能なpの値について、互いに公転運動している時に働く力のポテンシャルを計算した。その結果、どのDpブレーンの組についても、 束縛状態ができないことがわかった（ただし、この場合にも、複数のまとまったDpブレーンのかたまり同士が束縛状態を作る可能性は残されている）。
束縛状態の成立を期待した理由は、それによってゲージ対称性の自発的破れが起こる（具体的には、平行にわずかな距離だけ離れた２つのDpブレーンの系が得られる）と期待されるからであったが、その可能性はないことがわかった。すなわち、公転運動による超対称性の破れに起因する力は、遠心力に比べて弱すぎることがわかった。しかし、このような力の情報は、まだ詳細に研究されていないDpブレーンの動力学の理解に寄与するものである。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
互いに公転するＤブレーンに働く力の評価が想定していた以上に困難であったため。また、得られた結果が想定と異なり、近距離での束縛状態を否定するものであったため。新型コロナウィルス感染症のために国内出張や海外出張が制限されたことにより、共同研究や研究に必要な知識の獲得も制限されたことも影響している。
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| Strategy for Future Research Activity |
準静的に互いに公転するＤブレーンに働く力ではなく、より動力学的な場合の考察を行う。すなわち、高速ですれ違う２つのＤブレーンが開いた弦の対生成によって引きとめられて、束縛状態を形成するという可能性を追求する。この場合は弦の共形場の理論ではなく、有効場の理論によって計算を行うことになるので、運動による対生成に起因する運動の変化（バックリアクション）を正しく評価することに成功すれば、大きな困難はないと思われる。
また、互いに公転するＤブレーンによるゲージ対称性の破れにこだわらず、弦理論におけるその他のゲージ対称性の破れの機構の探索も行う。具体的には、コンパクト空間が非自明な場の配位によって安定化されている場合に、開いた時空にヒッグス場とそのポテンシャルが生成される可能性を追求する。
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| Causes of Carryover |
昨年度後半に予定していた海外出張（イタリア・ピサ）が新型コロナウィルスのためにキャンセルになったため。弦理論の専門家であるピサ高等師範学校のサニョッティ教授との議論ができなかったことは非常に残念である。また、共同研究者と議論するための、茨城県つくば市にある高エネルギー加速器研究機構への出張がほとんどできなかったことも理由である。次年度も海外出張は不可能であると考えられるので、数値シミュレーションのための計算機やソフトウェアなどの計算機環境の充実にあてる。
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