2022 Fiscal Year Research-status Report
The origin of electroweak symmetry breaking in String Theory
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19K03851
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
北澤 敬章 東京都立大学, 理学研究科, 助教 (20271158)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 弦理論における量子効果 / 質量補正 / 宇宙のインフレーション / 暖かいインフレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
・素粒子の標準模型において、電弱対称性の自発的破れの動力学は未知である。これまでの場の量子論の枠内でのさまざまな努力は実を結んでおらず、それを含み、かつ超えた枠組みとしての弦理論の動力学に期待がかかる。弦理論における量子効果による質量生成について詳細な研究を行った。特に弦理論におけるスカラー場の2点関数について詳細に研究をおこなった。本来は散乱行列しか計算できない現状の弦理論の定式化においても、外線運動量を質量殻からずらした2点関数は、量子効果による質量補正を正しく与える可能性を指摘した。新しい技術として「部分モジュラー変換」をいうものを駆使して、それを示した。このようにして得られる量子効果による質量補正について、その2乗質量が負になるときに対称性の自発的破れが起きる。それが実現するための条件を見出すことが次の課題である。これは高エネルギー加速器研究機構の磯暁氏および須山孝夫氏との共同研究である。
・宇宙初期に起きたと信じられている加速度的な宇宙膨張はあるスカラー場のポテンシャルエネルギーによるものと考えられている。観測によると、そのスカラー場の時間変化は極めて緩やかで、それを実現するポテンシャルエネルギー関数の自然な実現は極めて難しい問題である。スカラー場を擬南部ゴールドストーン場であると考えてこの問題を解決するアイデアは観測によって既に排除されたと考えられているが、「暖かいインフレーション」というシナリオにおいてはまだ可能性が残されていることを指摘した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまでの研究から、弦理論における対称性の自発的破れを実現するためには、弦理論の量子補正についてのより深い理解が必要であると認識した。そこで、スカラー場の質量補正に直結する2点関数に集中して、それを詳細に調べた。本来は散乱行列しか計算できない現状の弦理論の定式化においても、外線運動量を質量殻からずらした2点関数は、量子効果による質量補正を正しく与える可能性を指摘した。しかしながら、対称性の自発的破れを起こすためには2乗質量が負である状況を実現しなければならず、そのための条件を特定するところまでは達していない。
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Strategy for Future Research Activity |
スカラー場の2点関数の研究をさらに進めて、スカラー場の2乗質量が量子効果によって負になるための条件を見出し、それが実現しているDブレーンの系を具体的に構成する。また、2乗質量が負になると考えて過去に自分が研究をおこなったDブレーンの系について、本研究で得られた方法を適用してもう一度研究を行う。
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Causes of Carryover |
想定していた海外出張(イタリア・ピサ)が新型コロナウィルスのためにできなかったため。弦理論の専門家であるピサ高等師範学校のサニョッティ教授との議論ができなかったことは残念である。また、共同研究者と議論するための、茨城県つくば市にある高エネルギー加速器研究機構への出張があまりできなかった(3回しかできなかった)ことも理由である。次年度は、共同研究のための高エネルギー加速器研究機構や国内研究会出席のための出張がより頻繁に行えることを期待する。出張旅費の他は、老朽化した計算機(出張の際に持ってゆくもの)の更新や書籍の購入にあてる。
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