2022 Fiscal Year Research-status Report
Novel approach for the Carbon burning processes based on alpha inelastic scattering
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19K03859
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
木村 真明 北海道大学, 理学研究院, 教授 (50402813)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 天体核反応 / クラスター / 共鳴 |
Outline of Annual Research Achievements |
【12C+12C核融合反応の研究】様々な密度汎関数法を用いて、12C+12C共鳴のエネルギーと崩壊寿命を計算し、核融合反応率を見積もることで、密度汎関数の不定性が反応率にどの程度伝播するのかを調べた。その結果、(1) 低温での反応率については、密度汎関数への依存性が大きく、依然として不定性が残っていること。(2) 有限レンジ相互作用であるGogny汎関数は大きめの反応率を与える一方、局所密度近似によるSkyrme汎関数はかなり小さな反応率となることを示した。この違いは、相互作用のレンジが異なるため、炭素原子核間の引力の強さが、GognyとSkyrmeで異なっていることに起因すると考えられる。 【核融合反応の微視的模型の開発】(1) 反対称化分子動力学の実時間発展計算を行い、核融合で形成される複合核を記述する波動関数を生成する方法を開発した。(2) 反対称化分子動力学の波動関数から、散乱の境界条件を構成する方法を開発し、(1)で求めた複合核状態を表す波動関数と接続する事に成功した。これにより、多数の核子の組み換えを含む核反応を微視的に扱うことが可能になった。 【中性子ハローを記述する手法の開発】上記の模型の応用として、中性子ハローの記述を行った。反対称化分子動力学の波動関数を用いて、中性子ハローの漸近系を表現する方法を開発した。これを、近距離の波動関数と接続することで、中性子ハローを効率的に記述することが可能になった。この方法を用いて、今後質量数の大きな中性子ハロー核を微視的に研究することが可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初目的とした反応率を求めており、さらに核模型の不定性に由来する、反応率の誤差を見積もることにも成功している。 完全微視的に核融合を記述する模型も開発が完了し、実際の系に適用する段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
成果発表を予定していた国際研究会が2023年度に延期になっている。それまでに、成果をまとめて、本課題の成果報告とする予定である。そのため、旅費予算の繰り越し申請を行った。
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Causes of Carryover |
参加を予定していた国際研究会2件が中止となったため、計画延期を行った。当該研究会は2023年度の開催が決定したため、本研究課題予算を使用して出席し、成果発表を行う。
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