2021 Fiscal Year Research-status Report
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19K03860
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
瀬戸 治 北海道大学, 高等教育推進機構, 特任准教授 (40547741)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 重力波 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画では、初期宇宙で起こった右巻きニュートリノに質量を生成する真空の相転移により生成される重力波観測を通じて重い右巻きニュートリノの質量起源となる高エネルギー領域でのニュートリノの相互作用に迫る。 本計画のこれまでの研究で、バリオン数とレプトン数の差(B-L)をゲージ化した模型のスカラーポテンシャルにおいて強い一次相転移が実現できる場合について、大振幅の重力波を生成できることを示し、それが実現できるヒッグス場の結合定数の範囲の同定し、予言される重力波のスペクトルとそのパラメーター依存性を明らかにした。しかし、本研究期間中の他の研究グループの研究により二つ大きな進展があった。一つは、音波起源の重力波の振幅について、音波が活性化されている期間の有限性により、これまでの以前のスペクトル関数ではその効果が取り入れられておらず重力波の振幅を過大評価してしまっていることが明らかになったことである。もう一点は、DECIGO や Cosmic Explorer 等の将来実験の予想感度が再評価され、それまで知られていた予想感度よりも良い感度が期待できると考えられるようになったことである。 そこで本年度は、この進展を取り入れ、以前の解析の再解析を行った。その結果、音波起源重力波の抑制により二桁程度振幅は確かに小さくなるものの、将来実験の予想感度の改善の方が大きく、一次相転移によって誘起される宇宙背景重力波が DECIGO や Cosmic Explorer 等の将来実験によって検出可能であるという、これまでの研究の結論は変わらないことを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
最近の初期宇宙の真空相転移による重力波スペクトル計算に関する研究の進展を受け、以前の研究で取り扱った素粒子模型の予言する重力波スペクトルについて、より正確な予言を与えることに成功したため。
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Strategy for Future Research Activity |
ニュートリノ質量生成機構には右巻きニュートリノの並んで有望な機構として、電弱三重項のヒッグス場を導入する模型がある。今年度は、バリオン数とレプトン数の差(B-L)をゲージ理論に電弱三重項のヒッグス場を導入した模型について、その検証方法や宇宙論シナリオを議論する。
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Causes of Carryover |
参加を予定していた学会の現地開催中止や研究会の延期が重なり、未使用額が生じた。次年度の研究打ち合わせの旅費等に充てる予定。
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Research Products
(7 results)