2020 Fiscal Year Research-status Report
Study of vacuum structure based on the classification of dark matter models
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19K03867
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
大村 雄司 近畿大学, 理工学部, 講師 (00772097)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 暗黒物質 / フレーバー物理 / LHC実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、宇宙の真空構造の解明を念頭においた、暗黒物質(DM)模型の研究を行っている。特に(未知の)弱い相互作用をするDMに注目し、今年度はフェルミオンポータルDM模型とよばれるDMとレプトンが余剰レプトンを介して相互作用をする模型に注目し、模型の分類わけとそれぞれの模型の現状と将来実験での展望を論文JHEP08(2020)042で研究した。分類分けは、DMのスピンやカイラリティーといった物理量で行い、フェルミオンポータルDM模型という枠組みで考えられる全ての可能性を解析し、最新の実験データと比較した。この結果を物理学会と国際研究会で発表した。 この模型は、DMの観測だけでなく、LHC実験やフレーバー実験で検証することができ、最近の論文JHEP02(2021)231ではDM質量が数GeVである領域に注目し、ニュートリノ実験で検証可能であることも発見した。この質量領域は未だ暗黒物質観測でもカバーできていない領域であり、近年注目を集めているとともに、今後進展が期待できるニュートリノ実験やコライダー実験で検証であることでもインパクトのある結果である。この軽いDM領域ではフレーバーを持つ余剰スカラーが暗黒物質の残存量を実現するために必要である。この余剰スカラーに関する物理を論文JHEP09(2020)144で研究した。最近始動したBelle2実験での検証可能性を提案するとともに、近年注目を集めているミューオン異常磁気モーメントに寄与する新物理の提案とその検証方法を研究した。現在、これらの観測量と宇宙の真空構造の関係に関する理論的研究を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度はコロナ禍の影響により、研究会での研究発表を行える機会が予定よりも格段と減ったが、オンラインでの研究活動を行える環境をある程度整えることにより、協力研究者との会議は活発に進めることができた。暗黒物質模型の分類も、レプトンポータル暗黒物質模型の枠内では成功し、結果を2編の論文で発表することができた。研究は計画通りに進んでいるといえる。ただし、この研究課題に関わる暗黒物質やミューオン異常磁気モーメントの最新の実験結果が報告されており、多少研究の方向性が変わった部分もある。今年度の研究結果が、研究課題である宇宙の真空構造とどのように関わっていくかをより具体的な模型を構築することで研究していく。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度の実験結果に基づいた研究に基づき、2020年度はフェルミオンポータル暗黒物質模型の研究を行った。特にレプトンと暗黒物質が湯川相互作用する模型に着目し、暗黒物質の非常に軽い質量領域から地上実験で到達可能な重い領域まで解析を行った。2021年度はこの結果に基づき、このフェルモンポータル暗黒物質模型を有効理論とする新物理を探り、宇宙の真空構造の解明につなげる予定である。新型コロナウィルスの影響により、来年度も研究会参加が難しい状況が予想されるが、可能な限り積極的に研究会に参加し、研究成果を報告する予定である。
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Causes of Carryover |
今年度は、研究会に積極的に参加するため旅費でも使用を計画していたが、新型コロナウィルスの影響により、海外だけでなく国内の研究会もとりやめになり、協力研究者との研究打ち合わせでも出張ができなくなった。従って、予定していた旅費はキャンセルとなった。今年度も同様に、新型コロナウィルスの影響の改善が見込めないため、オンラインで研究活動を継続し研究計画に支障がでないよう、物品を購入してオンラインでの研究会や研究打ち合わせのための環境を今以上に整える必要がある。今年度は研究結果を保存するための物品を購入したが、次年度はPCやディスプレイなども購入予定である。
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Research Products
(7 results)