2021 Fiscal Year Research-status Report
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19K03870
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
瀬戸 直樹 京都大学, 理学研究科, 助教 (80462191)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 重力波 |
Outline of Annual Research Achievements |
銀河内の重力波源に関しては、白色矮星連星の集団的進化を議論した。特にこれらの連星が周波数空間で、どのように長期的に進化していくかを再検討した。質量を起こしていない白色矮星連星は重力波放出に伴って周波数を増大させていく。やがて始まる質量輸送が安定であればAMCVn型の連星に変化し、不安定な場合は合体する。宇宙重力波干渉計LISAを10年程度運用することにより、おおよそ3 mHz以上の銀河内の白色矮星連星を1万個程度検出することができると見積もられている。しかしこれらの連星の進化のタイムスケールは100万年程度と観測期間と比べて桁違いに長いために、ほとんどの連星はほぼ単色派的な重力波源とみなすことができる。しかしながら、観測期間にも強く依存するが、周波数の時間微分は多くの連星に対して観測可能である。これによって周波数空間での連星の流速が計測可能となることを初めて指摘した。さらに、連続の式を用いて連星集団の進化を取り扱うことを提案した。
一方、背景重力波に関しては、複数の干渉計で背景重力波が共通のノイズとして振る舞う結果、SN 比をどの程度劣化するか評価する定式化を新たに行った。 宇宙干渉計の起動配置などに関しては、まだ比較的設定自由度が存在し、それらを調整することによってこの共通ノイズをどの程度押さえ込むことができるかも検討した。 このノイズの解析と並行して、背景重力波の偏光モードに関するこれまでの研究を発展させ、最も一般的な5つのモードに対して、重力波干渉計ネットワークの幾何学的な特性と検出および信号分離の関連を議論した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Covid-19の影響で、重力波の観測計画には大きな遅延が生じており、当初利用する予定であったデータを使えなくなったため。
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Strategy for Future Research Activity |
観測結果の公開状況に合わせて、研究計画の一部の進行を調整する。また、観測結果を利用するだけでなく、宇宙干渉計ネットワークの効率的なデータ解析法の提案などの研究の 比重をあげていくことにした。
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Causes of Carryover |
感染状況を見極めたうえで、国際会議での成果発表、国内外の対面での研究打ち合わせを行って、計画の遅延を改善する。
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