2022 Fiscal Year Research-status Report
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19K03870
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
瀬戸 直樹 京都大学, 理学研究科, 助教 (80462191)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 重力波 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の主な研究成果は以下の2点である。 一つ目は、中性子星連星形成の生成周波数を探る手法の提案であり、McNeill氏との共同研究である。基本的なアイディアは、LISAによって検出された各連星中性子星に対して、観測された軌道周期と離心率に基づいて実効的な時間割合を割り当てることである。この時間割合は、バンド内で連星が形成されない場合には一様分布するようになっている。実際のデータ解析は以下の手順で行う。1)観測された中性子星のリストから生成される上記時間割合の分布を求める。2)次に得られた分布に対してKolmogorov-Smirnovテストなどの統計的手法を適用し、バンド内の連星形成の兆候を統計的に分析する。出版論文では、1 mHz周辺の銀河系の連星中性子星の利用可能なサンプル数に注目し、この方法の有効性に関して議論を進めた。 二つ目は、背景重力波の相関解析に関する大宮氏との共同研究である。我々は、第二世代検出器ネットワークによる等方的な背景重力波の偏光成分分析について、特にLIGO-Indiaを追加する利点に注意を払いながら議論を進めた。背景重力波は実質的に最大で5つのスペクトル成分(3つのパリティ偶数成分と2つのパリティ奇数成分)で特徴づけられる。これらは個々のスペクトルに対して定義されるoverlap reduction functionの差によって、代数的に分解することが可能である。我々は、これらの関数の間に2つの興味深い関係式があることを発見し、これらの関係式は一般に低周波領域における偏光成分の代数的分解を困難にすることを示した。また、LIGO-Indiaが奇パリティ成分に対するネットワーク感度を大幅に向上させることも示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
連星集団の新たな統計的解析法を提案した。この手法は応用性が高く、発展的研究が期待できるためである。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究を発展させるとともに、白色矮星に対する三体の効果に関する検討も進める。
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Causes of Carryover |
感染症により重力波観測計画に遅れが生じたためである。次年度に開催される国際会議等に積極的に参加し、最新の研究情報を収集する。
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