2019 Fiscal Year Research-status Report
Hosotani Mechanism and Gauge-Higgs Unification
Project/Area Number |
19K03873
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
細谷 裕 大阪大学, 理学研究科, 招へい研究員 (50324744)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 素粒子論 / 対称性の自発的破れ / 細谷機構 / 余剰次元 / ゲージヒッグス統合 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒッグスボゾンはゲージ場の5次元目成分の一部で、ヒッグスボゾンとゲージ場が統一されるゲージヒッグス統合理論の研究を推し進めた。クォーク、レプトンの新しい導入方法を確立し、低エネルギーではクォークセクターでの小林・益川混合を実現し、さらに将来の電子陽電子線形衝突加速器で観測可能な予言を明らかにした。 発見されたヒッグス粒子の背後に新しい物理が待ち受けているのか、鍵となるのはゲージ対称性の自発的破れのメカニズムである。標準模型では、SU(2)xU(1)ゲージ対称性を電磁U(1)ゲージ対称性に破るのにヒッグス機構を用いるが、このやり方ではヒッグス粒子とクォーク・レプトン・ゲージボゾン、そしてヒッグス粒子の自己相互作用は任意のものとなり、原理が欠落している。細谷により1983年に発見された細谷機構では、4次元のヒッグスボゾンはゲージ場の5次元目成分の一部として出現し、ゲージ原理により相互作用が支配される。この細谷機構に基づいた電弱統合理論としてゲージヒッグス統合理論がある。 細谷は、SO(5)xU(1)電弱統合ゲージヒッグス理論の新しいモデル(Bモデル、GUT inspired モデル)を構成し、精密化した。このモデルでは小林・益川混合が自然に入る。一般に、標準模型を超えるモデルで小林・益川混合を導入すると弱い相互作用における中性カレント相互作用(Zボゾンの相互作用)の部分にフレーバーを変えるカレント相互作用(FCNC)が大きく出てしまう。驚くべきことに、ゲージヒッグス理論では5次元的なゲージ不変性の帰結として、このFCNCが自然に強く抑制されることを示した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ゲージヒッグス統合理論でクォークセクターでの小林・益川混合を自然に組み込むことができたのは大きな成果である。さらに、混合があるにもかかわらず、フレーバーを変える中性カレント相互作用(FCNC)がゲージ不変性の結果として自然に強く抑制される(100万分の1の大きさになる)ことがわかったのは全く予想外のことであった。クォーク・レプトンのゲージ結合も標準理論の値と3桁、4桁の精度であう。面白いことに、ゲージヒッグス統合理論は10TeVのエネルギー領域に新しい粒子を予言し、特にZ'粒子の結合に大きなパリティの破れがあり、その効果をILCなどの電子陽電子線形衝突加速器で検証できることだ。
|
Strategy for Future Research Activity |
まず GUT inspired SO(5)xU(1)電弱統合ゲージヒッグス統合理論(Bモデル)で電弱対称性が細谷機構で量子効果により破れることを示す。様々な物理量に普遍的な関係があることも示す。 次に、ILCなどの電子陽電子線形衝突加速器実験で何が検証可能かを明らかにする。衝突断面積、前方後方非対称性、角度分布のエネルギー依存性、電子の偏極度依存性を見ることにより、標準模型から大きくずれることを示す。
|
Causes of Carryover |
新型コロナ感染拡大防止のため2月、3月に予定していた学会への出張を取りやめざるをえなくなった。 事態が収まり次第、2020年度の旅費に使いたい。
|
Research Products
(8 results)