2020 Fiscal Year Research-status Report
Theoretical prediction for the spin of primordial black holes
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19K03876
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
原田 知広 立教大学, 理学部, 教授 (60402773)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 原始ブラックホール / 宇宙論的摂動 / 一般相対論 / 回転ブラックホール / 重力波 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度には、前年度に研究協力者の柳哲文講師(名古屋大学)・郡和範准教授(KEK)とともに見つけた従来の研究の問題点を克服し、輻射優勢宇宙における角運動量の成長について解析的な計算を行った。そして、柳講師・郡准教授に加えて立教大院生の古賀泰敬氏・物部武瑠氏も研究協力者として参加し、輻射優勢期に生成される原始ブラックホールのスピン分布を計算することに成功し、その値が最大値の0.1%程度にとどまることを示した。この結果を論文にまとめて投稿し、査読を経て論文誌に掲載された。また、柳講師および大川博督博士(早大)とともに原始ブラックホール形成の非球対称数値シミュレーションを行い、典型的な原始ブラックホール形成においては、非球対称性の影響は小さいことを示した。この結果を論文にまとめて投稿し、査読を経て論文誌に掲載された。また、原始ブラックホール形成を含む初期宇宙の有り様に関する概説論文を海外の研究者らと執筆し、査読を経て論文誌に掲載された。 関連して、Mandar Patil助教(インド工科大学ダーワッド校)とともに臨界回転するKerrホワイトホールが高エネルギー宇宙線源になる可能性を提案し、論文としてまとめ査読を経て論文誌に掲載された。日置健太博士(三井住友銀行)とともに裸の特異点がブラックホールに遷移するようなEinstein方程式の厳密解を構築し、論文としてまとめ査読を経て論文誌に掲載された。國分隆文博士(湖南師範大学)とともにEinstein理論及びEinstein-Gauss-Bonnet理論における薄殻ワームホールの理論的研究の進展について概説論文を書き、査読を経て論文誌に掲載された。槌谷将隆氏(名大院理)・柳講師・古賀氏とともに、物質の降着流における音速点と光子球が一致するための条件に関する考察を行い、論文としてまとめ査読を経て論文誌に掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度には、輻射優勢期に生成される原始ブラックホールのスピン分布を計算することに成功し、結果を論文にまとめて投稿し、査読を経て論文誌に掲載された。これは当初の研究計画で予定していたものと概ね一致している。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は輻射優勢期に形成される原始ブラックホールの回転について摂動の1次による角運動量の成長を見たが、その結果ブラックホールスピンの効果は一般に極めて小さいことがわかった。2021年度には、2次的な効果による角運動量成長を見る予定である。並行して、物質優勢期に形成される原始ブラックホールについても調べる。
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Causes of Carryover |
2020年度はCovid-19の流行とそれによる政府や東京都その他地方自治体による要請および緊急事態宣言や蔓延防止等重点措置およびそれに対応する立教大学および他大学の方針により、研究計画に盛り込まれていた出張を行うことができなかった。それに伴って、2020年度中に計上されていた旅費やそれに関連した消耗品費を使用することができなくなった。2021年度これらの費用として支出する予定である。
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Research Products
(16 results)