2019 Fiscal Year Research-status Report
超短基線ニュートリノ振動でステライルニュートリノを探索する基礎研究
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19K03880
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中村 健悟 東北大学, ニュートリノ科学研究センター, 講師 (10400219)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 佑樹 神戸大学, 理学研究科, 特命助教 (70781889)
市村 晃一 東北大学, ニュートリノ科学研究センター, 助教 (80600064)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ステライルニュートリノ / サイクロトロン |
Outline of Annual Research Achievements |
サイクロトロンで発生させた反電子ニュートリノの超短期線ニュートリノ振動の探索を行う基礎研究を開始した。本研究は第4世代のニュートリノの存在を確かめるのが目的の実験を目指す基礎研究で、原子炉からの反電子ニュートリノを観測する実験でその存在を示唆する研究も存在する。原子炉からのニュートリノのフラックスの見積もりには不確定要素も含まれるため、本研究ではサイクロトロンで発生させたリチウム8のベータ崩壊で出てくる反電子ニュートリノを用いることにより不確定要素を取り除き、原子炉ニュートリノ実験とは完全に独立した研究方法である。 反電子ニュートリノの観測には反電子ニュートリノの観測実績のあるカムランドを用いるが、その近傍にサイクロトロンを設置するのは放射線対策を施した実験室(放射線管理区域)の設営が必要である。実験サイトが鉱山内にある特殊性のため様々な制約のもとで工事を行わなければならず、鉱山内での工事実績と管理区域の設置の工事実績の両方を兼揃えた専門業者を選定した。そして必要事項のリストアップ(減圧室、冷却水、遮蔽物、換気装置など)を始めた。 また本サイクロトロンで発生する反電子ニュートリノは、神岡エリアにある他の観測装置にも影響を与えてしまうため、その影響を詳しく調べるためのシミュレーションの開発を始めた。特に、ガドリニウムを純水に添加して反電子ニュートリノの検出効率を上げたスーパーカミオカンデでは致命傷になる可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
反電子ニュートリノの観測には、反ニュートリノの観測実績のあるカムランドを用いるが、その近傍にサイクロトロンを設置するのは放射線対策を施した管理区域、実験室の設営が必要である。そのため、減圧装置、遮蔽物、冷却水設備など、管理区域としての具体的な設備の施工方法と実現性についての検討を専門業者とともに始めた。 また本サイクロトロンで発生する反電子ニュートリノは、神岡エリアにある他の観測装置にも影響を与えてしまうため、その影響を詳しく調べるためのシミュレーションの開発を始めた。これには修士課程の学生1名を割り当ててシミュレーションコードの開発を開始した。
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Strategy for Future Research Activity |
実験室の設営にかんしては、鉱山内であるだけではなく現場への地理的なアクセス(道路状況、港からの運搬方法など)を考慮しておく必要があるので、これらの検討も開始して、管理区域、実験室の設営に必要な金額の大雑把な見積もり得たい。 シミュレーションに関しては、詳細を詰めて、現存する実験データとの比較を行い、その信頼性向上に務める。
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Causes of Carryover |
年度末に予定していた海外出張が新型コロナウィルスの影響で中止せざるを得なくなったため、見込んでいた金額よりも多くの金額が余った。シミュレーション用に、当初予定していたよりも高性能のコンピューターを購入する。
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