2021 Fiscal Year Research-status Report
重力波イベント電磁波対応天体の早期観測を目指した全天X線モニタ用光学系の開発
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19K03890
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
杉田 聡司 青山学院大学, 理工学部, 助教 (30573563)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 重力波イベント電磁波対応天体 / 全天モニタ / X線光学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は「平板X線反射鏡の開発工程の確立」、「科学的要求を達成する性能の光学系の設計」の 2 点の達成を目標とする。 2021 年度までにはX線反射鏡を製作しこれを組み込んだテスト筐体でのX線測定を行った。 平滑なフロートガラス上に DC マグネトロンスパッタ装置で 100 nm 厚程度のタングステンを成膜し、X線反射面を製作した。厚さ 200 mm のアルミ 平板にフォイルレプリカ法を用いてタングステン鏡面を転写し、薄板X線反射鏡を製作した。このレプリカ法の工程にスピンコーターを導入しX線反射鏡の表面の平滑性を数 μm に抑えることに成功した。 また薄板X線反射鏡の開発において、レプリカ法による製作の他にシリコンウエハを応用したシリコン基板によるX線反射鏡の開発を行った。シリコンウエハは厚さ ~100mm のシリコン結晶を ~nm の粗さまで平滑に研磨したものなので、低エネルギーのX線を反射することができる。シリコンウエハをダイシングカットすることでX線反射鏡として成形した。 光学系の設計に関して、これまで進めてきた Geant 4 による光学シミュレーションを元にし、二回反射によって 1500 mm の焦点距離で集光するデザインのテスト筐体を製作した。 レプリカ反射鏡とシリコン反射鏡もテスト筐体に組み込み、宇宙科学研究所の 30 m X線ビームラインでX線撮像実験を行い、X線集光像を取得することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の目的であるX線光学系のビームライン実験までは行うことができたが、2020年度に発生した計画の遅れが響き、実験結果の検討や改良点を加えた再測定を十分に行うことができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度のX線ビームライン実験の結果、集光像が悪くなる主な原因はテスト筐体の加工精度によるものであったと推定されるので、筐体の製作方法を再検討し再度X線ビームライン測定を行う。
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Causes of Carryover |
2020年度における大学及び宇宙科学研究所の入構禁止期間の影響を受けスケジュールに遅延が生じたため、宇宙科学研究所でのX線ビームライン実験を十分行うことができなかった。今年度は加工精度を向上させた筐体を製作しより結像性能の高い光学系を達成させる。
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