2021 Fiscal Year Annual Research Report
背景事象の飛躍的削減による地表でのMeVニュートリノ測定
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19K03891
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
川崎 健夫 北里大学, 理学部, 教授 (00323999)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 恭平 福井大学, 学術研究院工学系部門, 講師 (30722540)
岩田 修一 東京都立産業技術高等専門学校, ものづくり工学科, 助教 (80791904)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 原子炉 / ニュートリノ / シンチレータ / 環境放射線・背景事象 / ニュートリノ地表測定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、原子炉内部の核分裂反応により発生する反電子ニュートリノ(原子炉ニュートリノ)を炉心から数十メートル離れた屋外に設置した小型の検出器で観測することを目的としている。この測定技術の開発により素粒子物理学実験だけでなく、原子力工学や核査察安全保障など、応用研究における発展も見込まれる。 数年来開発を進めてきたプラスチックシンチレータを用いたPANDA検出器による測定実証試験を行った。関西電力大飯原子力発電所の4号機原子炉付近(距離45m)の屋外に駐車したトラック荷台内に設置して約2.5カ月間の長期測定を行った。13か月毎のメンテナンス期間を含むことにより、停止/稼働の測定値の差を取ることができた。また、昼夜の気温変化による検出器の応答補正などを行うことにより、原子炉ニュートリノを5シグマの有意度で、エネルギースペクトルとして観測することに成功した。 加えて、研究計画の後半内容である、さらなる背景事象の削減に関する基礎研究に取り組んだ。これは、短時間の測定時間で有意に原子炉ニュートリノを測定するために必要である。検出器の改良について、シンチレータの種類(液体/固体)、光検出器(PMT/MPPC)、位置測定方法(細分化等)について調べた。また、MeVニュートリノの測定では中性子検出が大きな役割を果たす。これまでGdとの反応でγ線を検出していたが、6Liによりα線として検出する方法についても詳細に研究した。この方法では、クエンチ効果により観測光量が小さいため、波長変換ファイバーの採用などが必要である。これらのオプションからテスト機の製作と評価、大型化のための問題点について検討した結果、現時点では「さらに細分化したプラスチックシンチレータ」が最適であると結論した。今後は、光検出器MPPCで必要とされる性能を達成するための、電子回路・データ収集系の開発が必要となる。
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Research Products
(2 results)