2019 Fiscal Year Research-status Report
マグネターの観測に立脚した超強磁場におけるX線放射機構の研究
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19K03905
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
中川 友進 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 付加価値情報創生部門(情報エンジニアリングプログラム), 特任技術副主幹 (50513454)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 超強磁場中性子星 / 宇宙物理学 / X線天文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
マグネターは量子臨海磁場を超える約1000兆ガウスの超強磁場を持つ中性子星である。磁気エネルギーの解放によりX線で輝くと考えられており、定常的にX線を放射し、ときおり間欠泉のように強烈にX線を放射するバーストを起こす。本研究の目的は、日本が誇るHETE-2衛星や「すざく」衛星などのX線観測に立脚し、真にマグネターが強磁場を持ち、磁気エネルギーの解放によりX線で輝くというモデルの確立である。 私は、これまでの研究成果により、太陽フレアとの類推から「定常放射はマイクロバーストの重ね合わせ」とする「マイクロバーストモデル」を提唱している。目的達成のためマイクロバーストモデルの証明を行う。2019年度の成果を以下にまとめる。 マイクロバーストモデルによると、通常のバーストも多数の数ミリ秒の継続時間を持つマイクロバーストの重ね合わせと考えることができる。この予測を検証するために、HETE-2衛星が観測したマグネターであるSGR 1806-20のバーストの光度曲線のPower Density Spectrum(PDS)を調べた。PDSにより時系列データの周波数特性を調べることができる。時間ビンは0.1 ms、エネルギー範囲は6-30 keVとして光度曲線を作成した。各々の光度曲線についてPDSを作成し、平均化したPDSを作成した。その結果、バーストは>5.6 msの継続時間を持つ同一の確率過程の現象の重ね合わせである可能性を見出した。この結果はマイクロバーストモデルからの予想と一致しており、マイクロバーストモデルにより観測事実を矛盾無く説明可能だと示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2019年度に計画していた「バーストもマイクロバーストの重ね合わせという予想の検証」だけでなく、2020年度に計画していた「マイクロバーストの放射の継続時間は数ミリ秒という予想の検証」も実施し、期待した成果を得られた。そのため、進捗状況を総合的に考えて、達成度は「当初の計画以上に進展している。」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度の成果に基づき、2020年度に計画している「マイクロバーストの本体であるファイアーボールの速度は光速に近いという予想の検証」を実施する。2019年度と2020年度の研究成果を査読付き学術論文として投稿する。
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Causes of Carryover |
(理由) 2020年3月に予定されていた国内学会(2件)の現地開催が中止となったため、未使用の旅費が生じた。 (使用計画) 2021年度の旅費と合わせて、研究成果の発表のための出張に使用する予定である。
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