2021 Fiscal Year Annual Research Report
マグネターの観測に立脚した超強磁場におけるX線放射機構の研究
Project/Area Number |
19K03905
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
中川 友進 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 研究プラットフォーム運用開発部門, 特任研究員 (50513454)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 超強磁場中性子星 / 宇宙物理学 / X線天文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
マグネターは量子臨界磁場を超える~10**15 Gの超強磁場を持つ中性子星である。磁気エネルギーの解放によりX線で輝くと考えられており、定常的にX線を放射し、ときおり間欠泉のように強烈にX線を放射するバーストを起こす。本研究の目的は、日本が誇るHETE-2衛星や「すざく」衛星などのX線観測に立脚し、真にマグネターが強磁場を持ち、磁気エネルギーの解放によりX線で輝くというモデルの確立である。 私は、これまでの研究成果により、太陽フレアとの類推から「定常放射はマイクロバーストの重ね合わせ」とする「マイクロバーストモデル」を提唱している。マイクロバーストモデルから、①バーストもマイクロバーストの重ね合わせ、②マイクロバーストの放射の継続時間は数ミリ秒、③マイクロバーストの本体であるファイアーボールの速度vは光速cに近い、と予想している。2021年度の成果を以下にまとめる。 マイクロバーストモデルに基づく予想の検証のため、HETE-2衛星が観測したマグネターであるSGR 1806-20の50個のバーストの光度曲線のPower Density Spectrum(PDS)を調べた。2020年度までの解析結果の精度を向上させて、予想①②については、95%の有意水準でバーストは≧6.1 msの継続時間を持つ同一の確率過程の現象(マイクロバースト)の重ね合わせであることを見出した。さらに、予想③については、ファイアーボールの速度はv~0.5cであり、ローレンツ因子がγ~1.1であることを見出した。そのため、本研究により、マイクロバーストモデルが観測事実を矛盾無く説明可能であるという結果が得られた。
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