2019 Fiscal Year Research-status Report
Study of Molecular Cloud Formation using L-band in USUDA-64m telescope
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19K03912
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山本 宏昭 名古屋大学, 理学研究科, 助教 (70444396)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 分子雲形成 / OH輝線 / 低密度分子雲 / 臼田64m鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
臼田空間観測所の64m鏡を用いて、OH分子が放出する1612MHz、1665MHz、1667MHz、1720MHzの各偏波を含む計8輝線の同時観測を2019年の6月と12月に行った。昨年度までに取得したデータを元に、観測パラメータの見直しを行い、調整をした上で、観測を実施した。その結果、観測効率(総観測時間に対する解析に使用できるデータを取得した時間の割合)を2倍以上上昇させることに成功した。6月の観測では周波数設定のミスにより、データの取得に失敗したが、12月の観測ではデータの取得に成功した。データ解析は自作のソフトウェアを使用しているが、解析によって新たに発見されたバグの修正を適宜行うなどして、実施した。 観測対象は高銀緯分子雲、SS433、W12Aである。SS433について、速度0.26cのジェットと相互作用している分子雲に対して、1612MHzおよび1720MHzのメーザー放射の検出を期待したが、いずれも検出できなかった。W12A、高銀緯分子雲からはOH輝線の検出に成功した。 Lバンド帯ではRFI(Radio Frequency Interference)の影響が大きい。頻繁に天体信号以外の電波を受信するため、それぞれのデータについて、RFIの同定、および天文データへの影響を調査した。RFIは時刻方向にはほぼランダムに、周波数方向にもずれて現れている。特にW12Aでの観測について、一次解析において、天体信号と同じ周波数に天体以外の信号が混入していた。これがRFIなのか、内部の観測装置起源なのかを調査している。 Planck/IRAS衛星によって取得されたデータから導出されたダストの光学的厚み、温度および水素原子、一酸化炭素分子のデータとの比較を行っている。また、これにより、OH観測の観測領域を選定する作業を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定よりも観測時間を確保できなかった。解析スクリプトのバグだし、RFIを確認するためのソフトウェアの製作など、ソフトウェアの開発に時間を要したため、次の観測提案までに時間がかかってしまったためである。また、12月の観測においては当初、K5/VSSPおよびK5/VSSP32のみでデータを取得する予定であったが、取得データのbit数、sampling周波数をかせぐためにADS-3000+もデータ取得に使用した。このため、データ量が増大し、解析に時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き臼田64m鏡で取得したデータの解析を実施する。取得したOH輝線のデータをもとに、Planck/IRAS衛星のデータによって導出されたダストの光学的厚み、温度、および、水素原子、CO輝線のデータセットを合わせて、分子雲形成の議論を行う。また、OH輝線の観測も継続して行う。
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Causes of Carryover |
臼田宇宙空間観測所へ出張回数が予定していたよりも少なかった。取得した観測データの量は膨大ではあるが、現状では既存のパソコンで対応可能な程度であるため、内臓HDDは購入したが、ワークステーションの購入は見送った。また、高感度化に向けた作業は検討を重ねているところで、関連する物品の選定をまだ行っていない。R2年度はワークステーションの購入、臼田空間観測所および研究会の参加のための旅費に使用する予定である。また、高感度化のための物品も可能な範囲で購入を予定している。
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