2019 Fiscal Year Research-status Report
X線回折格子を用いた重力崩壊型超新星の爆発機構の解明
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19K03915
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
内田 裕之 京都大学, 理学研究科, 助教 (60589828)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | X線天文学 / 超新星残骸 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初の予定通り、大マゼラン雲の超新星残骸のいくつかについてX線回折格子を用いた解析を行い、学生を主著とする2本の論文にまとめた。このうち N49 の論文は受理され、N132D についても投稿の準備ができている。前者については、超新星残骸で初の共鳴散乱効果の発見を行い、これによって鉄や酸素等のアバンダンスの正確な測定に繋げた。共鳴散乱の発見は、今後の XRISM などのX線精密分光衛星の観測において無視できない物理過程になりうるはずである。これらの成果は国際学会などの複数の研究会で発表している。さらに、XRISM 打ち上げ後の観測天体の選定に関わり、Cygnus Loop などの精密X線分光観測のシミュレーションや提案書の作成を行った。同時に XRISM の開発研究を継続して行い、進捗を国際ミーティングや学会で口頭発表した。特に今年度は SXI キャリブレーションシステムの構築(特にX線発生装置の開発と運用)や、ひとみ衛星で明らかになった光漏れ問題の解決などを行った。これらは将来、本研究課題に関わる観測研究のために必要不可欠である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に2本の論文という目標をクリアしている。また今後の研究のためのX線回折格子によるさらなる研究を継続しており、進捗状況はおおむね問題ない。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きX線回折格子による超新星残骸の未解析データの探索を行い(一部はすでに開始している)、論文化できそうなものから、学生の主著を含めて解析研究を遂行する。XRISM についても開発スケジュールに則って研究を進めるとともに、打ち上げ後の観測天体の選定や、科学成果の創出の最大化に向けて、引き続き議論を継続する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響により、予定していた学会や出張がキャンセルになったため、当初予定より使用額が減じたため。
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