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2023 Fiscal Year Research-status Report

Construction of a spectral library using the near-infrared high-resolution spectrograph WINERED

Research Project

Project/Area Number 19K03917
Research InstitutionThe University of Tokyo

Principal Investigator

鮫島 寛明  東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (10748875)

Project Period (FY) 2019-04-01 – 2025-03-31
Keywords近赤外線高分散分光 / WINERED / スペクトル / 褐色矮星
Outline of Annual Research Achievements

本研究の目的は、圧倒的な感度を備えた近赤外線高分散分光器WINEREDをチリ共和国のラスカンパナス天文台にあるマゼラン望遠鏡に設置し、様々な天体の高品質な近赤外線高分散スペクトルを取得してライブラリーとして公開することである。WINEREDによって得られる高品質かつ高分散なスペクトルには大量の吸収線および輝線が現れ、これは可視光と比べて研究が進んでいない近赤外線領域におけるこれら吸収線・輝線の基本的な性質、例えば強度を決める物理定数である振動子強度を調査するための貴重な観測データとなる。加えて褐色矮星という恒星と惑星の中間に位置する天体のスペクトルは、近年盛んに行われている系外惑星探査に関しても、ドップラー法による検出を行う上での参照源としての利用が期待できる。 しかしながら、技術的な問題に加えて新型コロナウイルスのパンデミックに伴う混乱により、当初予定されていた2019年のチリ共和国へのWINEREDの移設は延期となり、当初の予定から約3年遅れた2022年にようやくマゼラン望遠鏡での観測が実現した。
2023年度はマゼラン望遠鏡でのWINEREDの観測が6月と11月に実施され、うち11月の観測にはチリ現地に赴いて観測を遂行した。2022年には高温かつ明るくて観測が容易なL0型褐色矮星を観測したが、今年度はより観測が困難な低温のT0型およびT4.5型褐色矮星の観測に成功し、ライブラリーの観点では重要となる温度についてのサンプルの広範化が達成された。過去の研究で自転周期が5時間と推定されているT0型褐色矮星については、1時間ごとに1回、3時間に渡る観測を行い、自転に伴う時間変動の有無についても調査できる可能性のあるデータセットを確保できた。現在は詳細な解析を行っているところである。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

新型コロナウイルスにより発生したパンデミックの影響で、当初の計画から約3年の遅れが生じた。このような困難な状況に見舞われながらも、2022年にはチリ共和国マゼラン望遠鏡でWINEREDを搭載した観測をついに開始することができた。2023年は本助成金を利用して初めて現地に赴くことができ、観測所オペレーターや共同研究者とコミュニケーションを取ることで柔軟な観測を行い、高品質なデータセットを取得することに成功した。このようにやむを得ない事情で遅れが発生してしまったが、計画を延長することで当初の目的は達成されつつある。

Strategy for Future Research Activity

昨年度までに褐色矮星3天体の観測を達成した。ライブラリー構築においては様々な温度の褐色矮星のスペクトルを取得することが決定的に重要であり、これら3天体でL0型からT4.5型までをカバーできている。エシェル分光器で得られる情報は極めて膨大であるが、丁寧に解析することで各天体のスペクトル的特徴をまとめる。これら3天体は褐色矮星ライブラリー構築の先行研究にあたるものでも観測されているが、本研究で取得したデータは波長分解能が同程度以上かつ観測波長域は上位互換となっており、両者の間で違いを調べることで新たな発見の有無を調査する。3天体のうち1天体は3回の繰り返しの観測データを取得しており、褐色惑星大気と自転の関係など、時間軸的な観点からも調査する方針である。またマゼラン望遠鏡に赴いて新たな観測を行い、褐色矮星のサンプルを増やすことも検討している。

Causes of Carryover

当初の予定から約3年遅れてようやくチリ共和国のマゼラン望遠鏡に搭載してのWINEREDの観測が始まり、2023年度には現地に赴いての観測を初めて達成できた。しかし当初の計画で2021年度までの予算として計上していた旅費には未使用分があり、来年度のマゼラン望遠鏡でのWINERED観測に現地参加して観測を主体的に進めるために次年度への繰り越しを行う。繰り越した助成金は、文献調査やスペクトルデータをライブラリーとして公開するための環境構築にかかる経費などにも充てる。

  • Research Products

    (2 results)

All 2024 2023

All Journal Article (2 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results,  Peer Reviewed: 2 results,  Open Access: 1 results)

  • [Journal Article] WARP: The Data Reduction Pipeline for the WINERED Spectrograph2024

    • Author(s)
      Hamano Satoshi、Ikeda Yuji、Otsubo Shogo、Katoh Haruki、Fukue Kei、Matsunaga Noriyuki、Taniguchi Daisuke、Kawakita Hideyo、Takenaka Keiichi、Kondo Sohei、Sameshima Hiroaki
    • Journal Title

      Publications of the Astronomical Society of the Pacific

      Volume: 136 Pages: 014504~014504

    • DOI

      10.1088/1538-3873/ad1b38

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Shock Excitation in Narrow-line Regions Powered by AGN Outflows2023

    • Author(s)
      Mizumoto Misaki、Sameshima Hiroaki、Kobayashi Naoto、Matsunaga Noriyuki、Kondo Sohei、Hamano Satoshi、Yasui Chikako、Fukue Kei、Arai Akira、Kawakita Hideyo、Otsubo Shogo、Bono Giuseppe、Saviane Ivo
    • Journal Title

      The Astrophysical Journal

      Volume: 960 Pages: 41~41

    • DOI

      10.3847/1538-4357/ad0e6a

    • Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research

URL: 

Published: 2024-12-25  

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