2021 Fiscal Year Research-status Report
超高光度超新星母銀河における隠された星形成活動および分子ガスの詳細研究
Project/Area Number |
19K03925
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
廿日出 文洋 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (70719484)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 超高光度超新星 / 電波観測 / 系外銀河 / 星形成 / 分子ガス / ALMA / VLA |
Outline of Annual Research Achievements |
太陽のおよそ10倍以上の質量を持つ星は、寿命を迎える際に超新星爆発を起こす。近年の大規模探査により、通常の超新星の10~100倍も明るい超高光度超新星が発見された。しかし、超高光度超新星がどのような環境で発生するのか未だ解明されていない。本研究では、新たな観測手法として塵による吸収を受けない電波を用いることにより、母銀河の系統的な観測及び空間分解した観測を行い、超高光度超新星の発生環境を理解する。今年度は、以下の成果が得られた。
i) 既存の観測では検出できない塵に隠された星形成の有無を系統的に探査するため、VLA電波干渉計を用いて23の超高光度超新星およびその母銀河の3 GHz帯観測を行った。これまでに取得されたデータと合わせることで、世界最大のサンプルを構築した。母銀河における星形成活動、超高光度超新星の電波放射の年スケールでの時間変動、および理論モデルに制限を与えた (Hatsukade, B., et al., 2021, ApJ, 922, 17)。
ii) VLA電波干渉計を用いて、最も近傍のI型超高光度超新星の母銀河における中性水素原子ガスの観測を行った。目的は、既に取得している分子ガスデータと合わせて低温ガスの全体像を理解すること、および隣接する銀河との相互作用の有無を調べ超高光度超新星の母天体の生成要因を探ることである。2021年度は予定していた観測の一部が実行された。2022年にも観測が行われる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
VLA電波干渉計を用いた超高光度超新星母銀河の連続波探査が完了し、査読付き論文として出版された。また、最近傍の母銀河における中性水素原子ガスの観測も進んでいる。 このように、本研究課題で実施予定の研究について、おおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
VLA電波干渉計で観測が行われている中性水素原子ガスのデータ解析を行う。また、COVID-19の影響で中断していたALMA望遠鏡による分子ガス観測については、2021年末に観測が再開された。この観測によって、より高空間分解能の観測および異なる準位の一酸化炭素輝線が得られると期待される。データが取得され次第解析を行い、既存のデータと合わせることによって超高輝度超新星の発生環境の理解を進める。
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Causes of Carryover |
COVID-19の影響で、参加を予定していた学会・研究会の多くが中止または延期となった。また、ALMAによる観測が一部未実行であり、次年度以降に持ち越された。そのため、データが取得される次年度に、データ解析のための物品を購入する。また、得られた成果の発表を行う。
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