2020 Fiscal Year Research-status Report
The Taxonomy of the Structures of Protoplanetary Disks in the ALMA Era
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19K03932
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
武藤 恭之 工学院大学, 教育推進機構(公私立大学の部局等), 准教授 (20633803)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
橋本 淳 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(新分野創成センター、アストロバイオロジーセンター、生命創成探究, アストロバイオロジーセンター, 特任助教 (20588610)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 惑星形成 / 原始惑星系円盤 / 電波天文学 / データ解析技術 / 理論天文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、新型コロナウィルスの影響により、様々な望遠鏡の運用が軒並み中止された。その中で、これまでに得られたデータやアーカイブデータを利用した研究が中心に行われた。今年度の研究実績は、アルマ望遠鏡のデータを用いた研究が思となっている。三重星 GW Ori の周囲に、互いに傾いた、大きな複数リングからなる原始惑星系円盤が発見された。多重星周囲の原始惑星系円盤の観測は少なく、本研究の成果は報道発表がなされた。この研究は、三重星という力学的に特異な環境下においても、惑星形成が起こる可能性を示唆するものである。また、WW Cha 周囲の明るい原始惑星系円盤の観測では、弱いリング状の構造に加えて、弱い非軸対称構造が存在しうることを示した。WW Cha の周囲の原始惑星系円盤は非常に明るく、構造が無いように見えるが、詳しくデータを解析することにより、弱い構造の存在が浮かび上がってきている。本研究、および関連する他の天体に関する研究においては、弱い非軸対称構造を検出するため、モデルに依存しない新規のデータ解析手法を適用した。これは、原始惑星系円盤の構造を調べる上で、新しい手法となり得るものであり、他の天体のデータへの適用も行っている。さらに、アーカイブデータの解析から、低質量天体 ZZ Tau IRS 周囲の原始惑星系円盤に、遷移円盤のような構造があることがわかった。低質量天体の周囲で惑星形成が可能であるかどうかは議論があるところであり、今後、この天体のフォローアップ観測を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度は、新型コロナウィルスの影響によって、アルマ望遠鏡を含む様々な望遠鏡の運用が中止された影響を受け、新規のデータを取得することが出来なかった。そこで、これまでに得られたデータの論文化や、アーカイブデータを用いた研究を中心に進めることとなったが、結果として、前年度と同程度の成果を挙げることができた。遷移円盤のデータについての解析も進んでおり、全体としては概ね順調に進捗があると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、現在解析中の遷移円盤天体の観測データをまとめ、論文として出版することを目指していく。また、2020年度初頭のアルマ・サイクル8の観測提案公募が約1年間延期され、2020年度度にデータの取得が無かった影響が、来年度以降に生じる可能性がある。2021年度より、各種の望遠鏡の運用も元の状態に戻りつつあるため、研究を滞りなく進めていけるよう、引き続き観測提案の応募も行っていく。
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Causes of Carryover |
2020年度は、新型コロナウィルスの影響によって、国際会議・国内会議が軒並みオンライン開催となった。そのため、旅費の支出が無くなり、結果として次年度支出額が生じることとなった。旅費に関しては、2019年度においても未使用が生じていたが、2020年度にも出張が強く制限された状況が継続していたため、2021年度への再繰り越しとなる。 2021年度においても、感染状況を確認しながら活動を行っていく必要があるが、世界的には少しずつ感染拡大前の状況に戻りつつある。現在のところ、10月にドイツでの滞在型研究会が予定されており、比較的長期間の海外出張を行う予定である。また、海外の共同研究者との打ち合わせについても、状況を見ながら再開したい。今年度までの未使用額と当初計画の予算を合わせることで、当初計画の研究を実行しつつ、これらの出張旅費を支出できるものと見込んでいる。
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Research Products
(18 results)