2019 Fiscal Year Research-status Report
Research on the structure of ejecta in the early stages of nova explosions
Project/Area Number |
19K03933
|
Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
新井 彰 京都産業大学, 神山天文台, 研究員 (30582457)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 新星 / イジェクタ構造 / 近赤外線観測 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度における研究実績は、次のとおりである: (1)近赤外線高分散分光観測の観測データを基にした新星イジェクタの特徴をまとめ、国際研究会"Golden Age of Cataclysmic variable stars, イタリア・パレルモ 9月2-7日"で発表した(招待講演)。この研究では、5つの新星のデータについて近赤外線スペクトルの輝線(主に水素のPa系列, [N II], He I 10830A)に着目し、それらの輝線プロファイル、それらの輝線が青方偏移した吸収線を伴うのかどうか、という主に2つの観点について、観測された新星のフェーズ毎に調査した。その結果、[N II] 10400Aの輝線がダブルピークを示すものと、そうでないものがあることが分かった。それらの新星の光度変化とその結果を合わせることにより、ダスト形成新星においてダブルピークを示す場合と示さない場合があることが分かった。これはイジェクタ内でのダスト形成領域が新星によって異なるという可能性を示唆する。今後より深く分析を進めることにより、従来のイジェクタ仮説を直接的に検証するよいデータになると考えられる。このようなことが近赤外線のスペクトルから示されたことはほとんどなく新奇性の高い結果である。 (2)バンドン工科大学(ITB)のワークショップ(インドネシアバンドン・9月27-28日)に参加し、観測協力体制を構築した。バンドン工科大学には歴史あるボスカ天文台があり、これまでも申請者は共同研究を行ってきた。申請者はそこで行われたワークショップに招待され、最新トピックを講演するとともに、ITBのHakim Malasan教授と今後の観測協力体制を確認した。彼らは申請者が行っている研究の一環として新星のモニター観測をサポートしてくれる予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
業績で述べた研究会での発表のほかに、既存データの解析結果の論文化を進めている。観測データの解析作業が難航したため、当初予定していた論文出版に遅れが出ている。 また、新型コロナウィルスによる影響で年度末ごろの観測や出張ができなくなったことも影響し、新たな観測データの確保が進んでいない。
|
Strategy for Future Research Activity |
2020年度以降は、今後の国内・世界の状況を注視しつつ、おそらく海外出張が制限されるため、主に既存データの解析によって新たな成果を創出することに注力する。交付申請書に記載した成果を生み出せるように進める。解析作業のために必要としていた機材の購入を進め、効率的な研究体制を構築し、研究テーマである新星のイジェクタ構造の解明につながる研究成果を論文として出版していく。
|
Causes of Carryover |
理由は下記の3点である。 (1)購入した機材の価格の差異、および、大型ストレージ購入を翌年に回すことにしたため。2020年度の予算と合わせて機材の手配に活用する。 (2)研究集会や観測の予定変更による旅費額の変更による差額である。次年度の旅費に充当する。 (3)年度内の論文出版が叶わなかったために生じた差額は、次年度の出版費用として使用する。
|