2022 Fiscal Year Annual Research Report
PCクラスタを用いた光度と位相変化に伴う中性子星のサイクロトロン線の研究
Project/Area Number |
19K03934
|
Research Institution | Nagano National College of Technology |
Principal Investigator |
西村 治 長野工業高等専門学校, 情報エレクトロニクス系, 教授 (10259864)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 中性子星 / 磁場 / 重力レンズ効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
宇宙において最も強い磁場を持つ天体が中性子星であり,その磁場強度を直接測定できる唯一の方法がサイクロトロン吸収線(以下,吸収線)のエネルギーである.この吸収線のエネルギーが光度変化によって変化するモデルの構築を行い,シミュレーションを行っている. 令和3年度では,Vela X-1の観測の基本波で見られるような大変浅い吸収線構造について,シミュレーションを行うことで特徴を調べていた.Vela X-1では,基本波の吸収線構造が非常に浅い特徴だけでなく,吸収線のエネルギーは光度が上がると一旦減少してから増加する傾向が見られる.ここでは,重力レンズ効果により吸収線が2重に形成されている可能性について調べた.シミュレーションの結果はVela X-1の観測の特徴とよく一致し,重力レンズ効果により形成されている吸収線と考えることができる.このように考えると,Vela X-1は今まで見積もられていた磁場の強さの5倍の強さになる可能性があることがわかった. 令和4年度では、A0535+262というVela X-1の2倍の吸収線のエネルギーを持つ天体での吸収線の特徴も同様にシミュレーションした.ここでもVela X-1と同様の特徴を再現することができ、重力レンズ効果により吸収線が2重に形成されている可能性がある.その場合、A0535+262は10の13乗ガウスにも及ぶ超強磁場中性子星であるということになることが示唆された.また、中国のX線天文衛星Insight-HXMTによって100keV以上に及ぶ高エネルギーまで観測されたデータを用いて、GX301-2についても本研究のモデルを用いてスペクトルフィッティングを行ったところ、シミュレーションの結果で上手く合わせることができた.この結果からGX301-2についても吸収線のエネルギーから見積もられる磁場よりも強い磁場を持っていることが示唆された。
|
Research Products
(2 results)