2023 Fiscal Year Research-status Report
Scrutinizing origin of nuclear starburst through high precision star-formation law measurement
Project/Area Number |
19K03937
|
Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
中西 康一郎 国立天文台, アルマプロジェクト, 特任准教授 (60399277)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 爆発的星形成 / 電波干渉計 / データ解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
近傍銀河NGC253の中心核における星形成則と星間物質の性質をかつてない高い精度で決定し、スターバーストの起源を探ることが本研究の目的である。電波望遠鏡観測データに対して新たな処理・解析手法を開発し適用することによって、星形成活動の規模とその母体となる星間物質質量を高い精度で決定し、ひいては星形成則を高精度で導出することが本研究の目標である。 本年度は、新しい解析手法であるスペクトル画像データに含まれる分子・原子スペクトル輝線と連続波の分離手法の開発を継続し、ソフトウェアの実装を行った。従来手法(スペクト画像の統計量のみを用いる)と比較して分離精度をさらに改善するために原因調査と手法の改善を継続した。 アルマ望遠鏡による国際大型観測プログラムによるNGC 253銀河の観測データについては、従来手法を用いて処理済みデータの解析が進められ、Tanaka他(2024)が出版された。本論文では、階層ベイズモデルを適用した非局所熱力学平衡解析を行うことで、NGC 253中心核において分子ガスの主要な物理パラメータである密度と温度を27パーセク(約90光年)という高い空間分解能で推定することに成功した。同様の解析が行われている天の川銀河と比較すると、NGC 253には天の川銀河には存在しない高密度の分子ガスが存在していることも明らかになった。高密度分子ガスの存在の有無が、NGC 253(スターバースト有り)と天の川銀河(スターバースト無し)の違いを生む鍵となる要因であると結論付けた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「研究実績の概要」でも述べたように、新しい解析手法を用いたソフトウェアの完成が遅れたため、電波連続波エネルギー分布や連続波を除いた輝線スペクトルの確定も当初予定よりも遅れた。 当年度中には天体観測データの処理、解析結果の解釈と議論を効率的に進めるため、観測データが所在する日本(国立天文台)に国外の研究協力者に来訪していただき数週間の滞在中に共同作業を行う予定であった。しかしながら、当該研究者が異動し共同研究の遂行が困難になったため招請を断念した。代替策として他の研究協力者との対面およびテレビ会議による研究打合せを行い作業を進めたが、効率の低下は避けられず、データ解析および論文作成の遅れという結果を招いた。
|
Strategy for Future Research Activity |
前年度中に未完了となった、新しい手法に基づいて天体観測画像データを処理し、輝線と連続波の分離を実現する解析ソフトウェアは、次年度はじめには完成する予定である。次年度の残りの期間で解析を実行して結果の早急な公表を目指す。
|
Causes of Carryover |
国外から研究者を日本に招請し滞在期間中に共同研究を行う予定であったが、当該研究者が異動し共同研究の遂行が困難になったため招請を断念した。代わりに研究代表者と国内の共同研究者との研究打合せのための旅費に使用したが、支出金額は当初予定を下回り、次年度使用額が生じた。当該助成金は、次年度に開催される国内学会及び国際研究集会(国外開催)の参加費・渡航費等に充当する予定である。国内の研究協力者との研究打合わせと研究成果の公表(論文出版)のための費用にも充てる予定である。
|
Research Products
(14 results)