2019 Fiscal Year Research-status Report
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19K03944
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| Research Institution | Tohoku University |
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Principal Investigator |
鍵谷 将人 東北大学, 理学研究科, 助教 (30436076)
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2019-04-01 – 2023-03-31
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| Keywords | 低散乱望遠鏡 / PLANETS望遠鏡 / エウロパ / エンケラドス / 噴出活動 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ハワイ・ハレアカラに設置が予定されている1.8mの低散乱望遠鏡(PLANETS望遠鏡)を用いて太陽系の氷天体の活動現象の解明を推進することを目的とする。PLANETS望遠鏡は東北大学が米ハワイ大学他と国際共同で進めているプロジェクトであり、中口径ながら低散乱で高コントラストな光学系を有し、口径8mクラスの一般的な望遠鏡を上回る性能で、氷衛星からの噴出物を始めとする惑星と衛星近傍の微弱発光の観測に対して自前の連続的観測を可能とする。本研究では、低散乱かつ高コントラストを達成する上で要となる、補償光学を備えたコロナグラフの開発を行い、天体輝面から0.2-10秒角の範囲において2-6桁の輝度差を有する対象の観測を実現することを目指す。2020年度は主として、(1)PLANETS望遠鏡の主鏡支持機構の開発検討と試作, (2)ハレアカラ60cm望遠鏡を用いた補償光学システムの開発を実施した。
(1) ハレアカラの観測環境（シーイング）において本研究で必要とされる低散乱・高コントラストを達成するための主鏡面精度を検討した。そしてその検討結果に基づいて重力による変形の影響が許容できる主鏡の支持点数と配置、および各支持点に必要とされる支持力制御精度を有限要素法を用いて検討した。検討結果に基づいて主鏡の能動支持機構を設計・試作し、その支持力制御の再現性を検証した。支持力制御の再現性は0.1N以下となり、設計要求を十分満たすことが確認された。
(2) 40素子の可変形鏡と波面センサーから構成される補償光学システムをハレアカラ60cm望遠鏡に搭載し、その性能を検証した。観測対象の一つであるエウロパの明るさで、波面センサーが十分な感度を有することを確認した。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画で予定したとおり、2020年度に本研究で開発する補償光学システムの初期試験を実施した。一方で、本研究で使用する予定のPLANETS望遠鏡の開発は6ヶ月ほど遅れている。ファーストライト（初期試験観測）は当初予定された2021年度後半から、2022年度前半となる予定である。PLANETS望遠鏡開発の遅延は、研磨会社の都合による主鏡研磨作業開始の遅れが原因であり、技術的な問題によるものではないため、今後は順調に進むことが期待される。
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| Strategy for Future Research Activity |
2021年度は前年度に引き続き補償光学システムの開発をすすめる。前年度に開発したシステムをもとに、可変型鏡を144素子で制御ヒステリシスの生じないものにアップデートし、ハレアカラ観測所の60cm望遠鏡を用いて試験観測を実施し、その性能を検証する予定である。ただし、コロナ禍により海外渡航が困難な場合は、国内・実験室において波面誤差シミュレータを用いた性能検証に留まる可能性がある。また、PLANETS望遠鏡の開発については、研磨作業を開始し、架台やその制御システムの開発をすすめる。
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| Causes of Carryover |
PLANETS望遠鏡の開発遅延のため、当該年度に支出を予定していた旅費を次年度に繰り越すこととなった。加えてPLANETS望遠鏡の主鏡支持機構の試作のために予定していた当該年度の支出を次年度に繰り越すこととなった。
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