2020 Fiscal Year Research-status Report
大規模数値計算を用いた巨大天体衝突に伴う多様な衛星系形成モデルの構築
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19K03950
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| Research Institution | Kyoto University |
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Principal Investigator |
佐々木 貴教 京都大学, 理学研究科, 助教 (70614064)
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| Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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| Keywords | 衛星系形成 / 月形成 / 天王星衛星系形成 / N体計算 / 巨大天体衝突 / ハウメア |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、大規模N体計算およびモンテカルロ計算によるパラメータスタディを行なうことで、巨大天体衝突によって生じた周惑星デブリ円盤からどのような衛星系が形成されるかを明らかにすることを目的としている。本年度は、前年度に構築したN体計算コードを用いて、様々な天体周りの衛星系の形成過程について検証を行い、それぞれ新しい成果を挙げることができた。
準惑星ハウメアのリングおよび衛星が天体衝突によって形成されたとするシナリオを提示した。衝突破片から形成された衛星のうち、ハウメアの近傍にある衛星の潮汐破壊についてラブルパイル物体の反発係数を変数としたN体計算を行ったところ、ロッシュ半径の位置が現在のリングの位置付近になることが示された。これにより、ハウメアのリングおよび衛星の形成過程に関する天体衝突シナリオが正しい可能性が高いことがわかった。この成果については Sumida et al. (2020) などにより報告済みである。
天王星衛星系については、巨大天体衝突後に形成された周惑星円盤の進化に関する前年度の研究成果を考慮したN体計算を行なうことで、最終的な衛星系形成過程を定量的に評価した。その結果、実際に天王星衛星系が再現できることがわかった一方で、現在の衛星系の外側に余分な衛星が複数形成されてしまうなどの問題点が明らかになった。この成果については現在投稿論文を執筆中である。
さらに昨年度に引き続き、月円盤進化を考慮した月形成過程のラブルパイルN体計算を行った。長期間・大規模数値計算により、新たな月形成プロセスについて検証し、その可能性および問題点を明らかにした。この成果についてはSasaki & Hosono (submitted) などにより報告済みである。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度に構築したN体計算コードを実際のハウメア系・天王星衛星系・月の形成過程に適用し、確実に成果を挙げることができた。またこれらの成果をもとに、当初の研究計画の枠を超えた新たな研究課題についても積極的に取り組むことで、より一般的な衛星系形成過程に対してより総合的な視点を得ることができた点も、大きな進捗だといえる。またその中で新たな問題や研究課題も明らかになり、今後の理論モデルの拡張に対する重要な示唆も得られた。来年度に行なう新たな数値計算に向けて、有意義な研究の進展があったと考える。
以上の研究成果については査読論文および複数の学会発表によって報告を行っている。本年度は、研究計画の遂行および新たな研究課題への取り組みにおいて、質・量ともに、おおむね順調な進展があったと考える。
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| Strategy for Future Research Activity |
これまでに構築・拡張したN体計算コードを用いて、一般的な衛星系形成過程に関する大規模なN体計算およびモンテカルロ計算を行なう。特に巨大天体衝突によって生じた多様な周惑星デブリ円盤からの多様な衛星系形成過程について、様々な物理パラメータのもとで系統的なN体計算を行う。その結果を統計的に解析し、各物理量の結果への依存性などを調べるとともに、モンテカルロ計算によって衛星系形成過程の全体像を明らかにする。
個別の太陽系天体周りの衛星系についての数値計算も継続して行なう。特に天王星衛星系および月の形成過程について、本年度明らかになった問題・課題についてさらに新しい数値計算を行なうことで、その解決およびより深い理解を目指す。
さらに本年度同様、構築したN体計算コードを別の問題へも積極的に適用し、当初の研究計画の枠を超えた新たな研究課題についても積極的に取り組んでいきたい。
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| Causes of Carryover |
COVID-19 感染拡大の影響により、各種経費の使用が予定通りに行えなかったために次年度使用額が生じた。翌年度に必要な物品等を追加購入することで使用する。
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[Presentation] 大気散逸を考慮した M 型星周りのハビタブルゾーンの再評価 (2)2020
Author(s)
山敷庸亮, 野津湧太, 前原裕之, 佐藤達彦, 野津翔太, 佐々木貴教, 佐藤啓明, 木村なみ, 清水里香, 高木風香, 坂東日菜, 野上大作, 柴田一成, Vladimir Airapetian, 他 ExoKyoto 開発チーム
Organizer
日本天文学会2020年秋季年会
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