2020 Fiscal Year Research-status Report
Investigation of anomalous neutral density enhancement disturbing satellite orbits in the cusp using international sounding rockets
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19K03954
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Research Institution | Hokkaido Information University |
Principal Investigator |
柿並 義宏 北海道情報大学, 情報メディア学部, 准教授 (00437758)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 宇宙天気 / カスプ / 熱圏大気密度異常 / 観測ロケット / 化学物質放出 / バリウム / ストロンチウム / 宇宙花火 |
Outline of Annual Research Achievements |
ロケットから発光するガス(バリウム,ストロンチウム)を放出し,その動きから高度100 km付近の中性大気風とプラズマドリフトを推定することで,高度400 kmで見つかっているカスプの中性大気密度異常を作り出す成員を明らかにすることが目的である.2019年度に計画されていた2つの国際共同観測プロジェクト(the Cusp Region Experiment 2, 以下CREX-2およびthe Joint Japan-U.S. Cusp Heating Investigation,以下CHI)のうち,CHIのみ実施され,CREX-2は2021年度に延期されたため,2020年度はCHIの実験観測画像の解析を実施した.中性大気風およびプラズマドリフト速度は2地点からの観測から三角測量の要領で位置を推定し,その時間変化から求める.そのため,観測画像から発光雲の方位角・仰角を精度良く求めることが重要である.撮影に用いたレンズは視野角が120度と広く,画像の歪みが大きい.実験当日の星の動きから,レンズの歪みを関数フィッティングで推定した.この歪み推定により,発光雲の正確な角度決定ができた.この結果を用い,観測画像から中性大気風およびプラズマドリフトの推定を行った.中性大気風は北西もしくは西に100 m/sであり,プラズマドリフトはおおむね東北東に900~1200 m/sであることが分かった.さらに発光ガス放出直後は観測ロケットの軌道の影響を受け,上昇するプラズマドリフトが観測された.それ以外ではほぼ水平のプラズマドリフトが観測された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は観測システムの構築および観測ロケット実験を実施した.ただし,予定していた2つのロケットのうち1つが2021年に延期された.
2020年度は実施された観測ロケット実験のデータの解析を行った.この解析に必要となるレンズ歪みを補正するため,レンズの歪みを調べる必要がある.歪みを調べるために方位角・仰角が正確にわかる星観測から撮影画像内の方位角・仰角からレンズ歪み関数を決定した.光の波長ごとに色収差が違うため,このレンズ歪み補正関数は観測波長ごとに決定した.視野周辺部はわずかではあるが,補正しきれない部分がわずかに残っているが,情報としてはほとんど利用しないため,解析結果に影響を与えない.このレンズ歪み補正関数を用いることにより,正確に撮影画像の方位角・仰角を求めることができるようになった.これらを用い,発光雲の動きから中性大気風およびプラズマドリフト速度の推定ができた.研究は概ね順調に推移していると考えている.
これらの結果は日本地球惑星科学連合,米国地球物理学会で発表を行った.
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Strategy for Future Research Activity |
2021年11月には延期された観測ロケットが実施される予定であるが,コロナ禍で実施は見通せていない.再延期されることを念頭に柔軟に計画変更を行う予定である.2019年に実施した実験での経験を踏まえ,観測計画の策定,実施を行っていく予定である.観測が実施された場合は,2020年度の成果をもとに,速やかに解析を実施し,下部熱圏中性大気 密度上昇の成因を明らかにしていく.
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Causes of Carryover |
コロナ禍により,旅行制限・学会の中止・学会のオンライン化となった.そのため,学会参加の旅費が発生しなかったため費用がほとんど生じなかった.また,2021年に延期されたロケット実験が計画されており,その旅費を新たに確保する必要性が生じたため,費用を極力使わないようにしたため.
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