2021 Fiscal Year Research-status Report
Investigation of anomalous neutral density enhancement disturbing satellite orbits in the cusp using international sounding rockets
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19K03954
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Research Institution | Hokkaido Information University |
Principal Investigator |
柿並 義宏 北海道情報大学, 情報メディア学部, 教授 (00437758)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 宇宙天気 / カスプ / 熱圏大気密度異常 / 観測ロケット / 化学物質放出 / バリウム / ストロンチウム / 宇宙花火 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年12月に打ち上げ予定であった2基の観測ロケットCHI,CREX-2のうちCREX-2は,観測条件がそろわず,2年後2021年12月に延期となった.CHIの実験については解析が進み,中性大気風,イオンドリフト速度を見積もることができた.発光雲放出直後はキャニスタの軌道の影響を受けているものの,すぐに影響がなくなり,どちらもほぼ水平成分しかないことが分かった.また,イオンドリフト速度は高度により大きな違いがあることも分かった.
2020年1月から世界を襲ったコロナ禍にも関わらず,観測ロケットの主担当である米国アラスカ大学,NASAのチームにより準備が進められ,当初予定通り観測ロケットの打ち上げが決定された.しかし,コロナ禍により出国制限及びノルウェーへの厳しい入国制限が実施され,研究実施者が観測ロケットの打ち上げが行われるノルウェーへの入国は不可能でないものの,非常に難しい状況となった.そこで,米国アラスカ大・クレムソン大の共同研究者に観測協力を依頼した.カメラ機材組み立てマニュアル,観測スクリプトの実施方法を作成し,観測機材をノルウェーへ送り,観測を実施してもらうこととした.観測ロケットCREX-2は2021年12月1日に打ちあがり,観測ロケットから発光雲が放出され,実験は成功裏に終わった.しかし,観測点2点のうち,1点では観測に成功したものの,観測システム不具合によりもう1か所では十分な観測ができなかった.計画通りに観測スクリプトが動かず,観測開始予定からある程度時間のたった途中からの観測しかできなかった.その時刻からの観測では発光雲は全く撮影できていなかった.原因は現在までのところ分かっていない.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年に実施したCHI実験の発光雲の初期的なデータ解析は実施した.放出に成功した8つ発光雲の発行高度を決定することができた.それらの移動を追跡することで中性大気風とイオンドリフト速度を見積もることに成功した.中性大気風は北東から東方向に90~170 m/s,イオンドリフト速度は北東から東北東方向に170~1200 m/sであった.イオンドリフト速度は高度により大きな違いがあり,350 km 付近が一番速く,270 km 付近が一番遅かった.また,発光雲放出直後には,発光雲を封入していたキャニスターの軌道に影響を受けてたと思われる発光雲の上下動が見られたが,しばらくのちはほぼ水平に移動していることが分かった.
延期されていたCREX-2が2021年12月に実施された.コロナ禍の影響で研究代表者は現地で観測をできなかったため,共同研究者に依頼し,データを取得した.これらのデータの解析を開始した.
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Strategy for Future Research Activity |
CREX-2では観測システムに不具合があり,1地点でしか観測できなかった.システムに詳しい代表者が現地へ行けなかったため,リカバーできなかったという面はある.一方で,コロナ禍のような状況は今後も起こりうるため,原因を追究し,不具合を解消しておくことで,システムに詳しくない協力者に安心して観測を依頼できるようにしておくことが肝要である.代表者が観測できる場合でも機会損失を最小限にできる.
CREX-2では1地点でのみの観測となってしまったため,三角測量の手法を利用した発光雲の位置推定が採用できない.そのため,1地点のデータだけでもある程度風を推定できる手法を開発する必要があり,その開発に着手する.
さらに,フィルターを使用した観測は原理的に暗くなるため,フィルターを使わず,特定の波長の情報を得る手法を開発することで,観測の時間分解能を向上する手法を検討する.
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため,実験開催国のノルウェーに入国できず,実験に直接参加できず,十分な観測結果が得られなかった.次年度では観測トラブルの原因追及,少ないながら得られたデータの解析手法の検討などを行う打ち合わせ,情報収集を行う.また,フィルターを使わず特定の波長の情報を得る手法の検討を行う.
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