2020 Fiscal Year Research-status Report
Revealing the star and planet formation processes with high-resolution spectroscopy
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19K03957
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
高木 悠平 国立天文台, ハワイ観測所, RCUH職員 (80648973)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 星・惑星形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
地球を始めとする惑星の形成過程を知るためには、若い星や原始惑星系円盤の進化過程を詳しく調査することが重要である。本研究では、若い星の高分散分光観測を行うことで、前主系列星や原始惑星系円盤の物理状態を正確に求め、その進化に詳しく解明することである。本研究では、V960 MonというFU Ori型星の高分散分光観測に取り組んだ。FU Ori型星は成長段階にある星において、質量降着率が急激に増大することで明るくなる星で、星はその成長過程で質量降着率が増加するフェーズを数回経験する。この増光過程や増光時の星及び原始惑星系円盤の物理的変化はまだ詳しく明らかになっておらず、詳細な観測を行うことが重要である。すばる望遠鏡と高分散分光器HDSによるV960 Monの観測で、V960 Monが徐々に暗くなるとともにスペクトル中に見られる吸収線の強度と輪郭が変化する様子が捉えられた。この吸収線の変化やHα輝線やCa II輝線の変化などから、V960 Monのスペクトルは中心星成分と円盤大気成分から成ること、また中心星の初物理量は像高前後で大きく変化していないこと、さらには円盤大気の温度低下などが明らかになった。これらの成果を2020年11月に論文発表した。 さらには、円盤の進化過程を決定する要因を調査するために、おおかみ座分子雲に属する前主系列星の高分散分光観測を実施した。これまでの研究で、おうし座分子雲とへびつかい座分子雲の円盤進化過程が異なることがわかっている。おおかみ座分子雲はへびつかい座分子雲に似通った周辺環境に置かれていることから、これらの比較により円盤進化過程を司るメカニズムを詳細に調べることができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究のテーマの一つであるFU Ori型星についての論文を発表した。またもう一方のテーマの円盤進化過程に関する研究についてもデータ取得を進めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究から、属する分子雲により原始惑星系円盤の成長過程が異なる可能性が示唆されている。本年度の研究にて、これまでに観測ができていなかった星形成領域でのデータが取得できた。今後はこのデータを用い、過去研究で判明している円盤進化タイムスケールと比較し、円盤の成長過程に関する統計的議論を推し進める。
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Causes of Carryover |
昨今の情勢により、学会や研究会などへの参加が困難となったため、旅費などを計画通り執行できなかった。次年度使用額として生じた資金は翌年度以降の論文投稿費用などに使用する。
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Research Products
(1 results)