2020 Fiscal Year Research-status Report
Arctic ocean acidification and its impact on marine organism
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19K03970
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
川合 美千代 東京海洋大学, 学術研究院, 准教授 (50601382)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木元 克典 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(地球表層システム研究センター), 主任研究員 (40359162)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 海洋酸性化 / 北極海 / 翼足類 |
Outline of Annual Research Achievements |
北極海カナダ海盆における海洋酸性化と生物影響を調べるため,2019年に引き続き,北極海での動物プランクトン試料を採取する予定であったが,COVID-19の流行により,観測航海に参加することができなかった。しかし,2019年に採取した試料の解析を順調に進めることができた。観測対象である有殻翼足類の殻密度ならびに殻の様子を,マイクロフォーカスX線CTスキャンと電子顕微鏡で調べた。海水の酸性化の状況を示す指標(Ω)と殻密度の間には関係は見られなかったが,有殻翼足類の個体数とΩとの間には正の相関がみられた。また,酸性化が進んで炭酸カルシウム未飽和な海水中でも,損傷のない正常な殻をもつ個体が多く存在していることが分かった。有機質の膜により,殻が保護されているためであると考えられる。一方で,殻の中央部が溶解している個体も少数確認された。有機質の膜に損傷を受けたため,酸性化の進んだ海水中で殻の溶解が起きたものと考えられる。酸性化がなければ,有機質の膜の損傷は溶解を引き起こすことはないことから,これらは,酸性化によって,北極海に生息する翼足類に負の影響がすでに及んでいることを証拠づける結果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
観測はできなかったが,2019年の資料を用いて必要な解析を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年の8-9月に予定されている北極海航海に参加し,追加の試料採取と分析を行う。また,これまでの結果を論文にまとめて公表する。
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Causes of Carryover |
COVID-19により,カナダ船での観測に参加することができなかった。代わりに,2021年度の航海に参加し,必要な追加サンプルを採取する予定である。このため,2020年度に使用予定であった旅費や物品輸送費,物品費を2021年度に使用する予定である。
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