2021 Fiscal Year Research-status Report
Arctic ocean acidification and its impact on marine organism
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19K03970
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
川合 美千代 東京海洋大学, 学術研究院, 准教授 (50601382)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木元 克典 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(地球表層システム研究センター), グループリーダー代理 (40359162)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 北極海 / 酸性化 / 殻の状態 |
Outline of Annual Research Achievements |
他の海洋に比べて酸性化が深刻な状況に達している北極海カナダ海盆上層において,有殻翼足類の殻の溶解状況と個体数ならびに酸性化の状況についての解析を行った。
酸性化の進行状況については,過去18年の観測データの解析から,炭酸カルシウム未飽和水が表層では11倍,亜表層では1.5倍に厚みを増していることが分かった。その原因は,表層水については海氷融解とCO2の取り込みであり,亜表層については,CO2の取り込みと酸性化が太平洋起源水の厚み増加の寄与をそれぞれ定量的に解析した。さらに,モデルシミュレーションを用いた解析研究から,カナダ海盆の酸性化の進行には海氷融解が大きく貢献しているが,一方で河川水が増加し,酸性化をある程度抑制していることが分かった。
過去の観測で採取され,保存されていた有殻翼足類資料については,殻の保存状態が悪く,殻の状況に関する経年変動の情報は得られなかった。しかし,個体数については,酸性化が急速に進行した2000年代半ばに比べて明らかに減少していることが分かった。また,2019年に採取した各個体の殻の状態から,殻に小さな穴が開いたりひび割れたりした場合は殻を補修している様子が確認された。一方で,殻の表面に広く溶解が見られる個体もあり,酸性化が有殻翼足類の個体数減少の原因である可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVIDの影響で,2年続けて観測に参加できなかった。 また,動物プランクトンの保存状態が悪く,過去の殻の状態を復元することは困難であることが分かった。しかし,個体数の解析は行うことができ,個体数が減少していることを示すことができた。殻の解析結果から,その原因が酸性化であることが示唆された。 モデルシミュレーションと現場の化学観測のデータを合わせて,酸性化の進行の原因についての定量的解析を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
得られた結果を論文として発表する。
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Causes of Carryover |
論文投稿が年度後半になり,年度内に印刷されなかったため,翌年度に論文掲載費として予算を繰り越した。
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Research Products
(8 results)