2020 Fiscal Year Research-status Report
貧栄養化が進む日本沿岸の基礎生産量変動の実態解明:伊勢湾を例として
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19K03972
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
石坂 丞二 名古屋大学, 宇宙地球環境研究所, 教授 (40304969)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 貧栄養化 / 衛星リモートセンシング / 植物プランクトン / クロロフィルa / 伊勢湾 / 長期変動 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本沿岸域では、過去に富栄養化によって赤潮等の被害が出ていたため、世界に先駆けて栄養塩の負荷量削減が行われてきたが、近年は逆に貧栄養化で生物生産の減少が懸念されている。しかし、時間的・空間的変動の大きい基礎生産については、その長期変化の実態は把握されていない。本研究では、特に日本の代表的内湾である伊勢湾に注目して、これまで活用されていなかった過去20年間の衛星データによって、植物プランクトンの現存量・群集構造・基礎生産のデータセットを作成し、この高空間解像度・高時間頻度のデータから長期変動・変化を明らかにし、栄養塩負荷削減の影響を考察することを目的とした。 2020年度は、おもに2017年末に日本で打ち上げた人工衛星「しきさい」の250m解像度のデータに関して検証を行ってきた、COVID-19の影響もあり2020年の新しい現場データはあまりないが、2018年と2019年のマッチアップデータを利用して検証を行った。その結果、以前MODIS衛星のデータでも確認した、吸収性エアロゾルの影響と考えられる、短波長側でのリモートセンシング反射率の過小評価が多くのデータでみられ、このような場合はクロロフィルaが過大評価され、またばらつきも大きかった。MODIS用に開発した(Hayashi et al., 2015)現場の波長別のリモートセンシング反射率でみられる関係を利用する線形補正手法を「しきさい」の波長に変更することによって、補正を行い精度が向上することを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
衛星データは比較的簡単に入手できるが、そのクオリティコントロールに予想以上に時間がかかっている。クオリティコントロールを厳しくすると、データが減 少してしまい、逆に甘くすると、データの変化が本当に現場の変化を表しているかの判別ができなくなる。現在、多くの現場データを集めて、その判定を行う作 業を行っている。特に現在、日本の新しい衛星しきさいのデータに関して、その特性の把握に時間がかかっている。
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Strategy for Future Research Activity |
進捗状況の理由に書いたように、現場データを集め、クオリティコントロールをデータの質と量を確保できるように、適度に行う手法の検討を行っている。この 作業が終了次第,最近のデータまでの時系列解析を行い,また植物プランクトン群集構造や基礎生産に関しても検討を行う.
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