2023 Fiscal Year Research-status Report
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19K03975
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
西 憲敬 福岡大学, 理学部, 教授 (00222183)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
濱田 篤 富山大学, 学術研究部都市デザイン学系, 准教授 (30550008)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 熱帯 / 巻雲 |
Outline of Annual Research Achievements |
東京大学のスーパーコンピュータWisteria-Oにおいて、全球雲解像モデルNICAM Version19.3を用いて、高水平解像度(7km)の実験を試みた。大規模雲帯分割前の帯(初期帯)が、十分に多くの積乱雲を含み細く長く単純な形状をしている事例を客観的に抽出して、そのリストを元に典型的な分割事例を目視で探した。本年度は抽出方法を改良した結果、非常に典型的な事例をみつけることができ、その事例についての実験で、かなり忠実な再現を行うことができた。現象は、2016年2月8日に中部太平洋で起きたもので、発生時刻と経度は少し実際のものとは異なっていた。また、これとは別に、以前より注目している2020年12月24日の事例について、初期時刻を変更した感度実験を行った。初期時刻を1時間変更した結果はほとんど変わらなかった。初期時刻を1日単位で変更した実験では、23日0時を初期値としたものでは良い再現性があったが、それより早くても遅くても、再現性は良くなかった。初期値は分割発生に近いほど良いはずだが、場のスピンアップに1日程度はかかるということかと考えている。また、並行してERA5データを用いて現実大気の解析を行った。分割後の上層雲主体の雲帯が、高度が上がるにつれて北(南)側の帯ではその位置が北(南)に検出される「傾いた構造」が、いくつかの事例で認められた。分割後の雲帯には浅い南北循環が伴っているようである。この浅い構造は、雲帯が検出される時間帯で、継続的にみられるようだ。この雲帯の移動速度は、ほぼその付近の南北風速の平均値と同じであり、雲帯は基本的に移流されていると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
数値実験とデータ解析を並行して行っている。当初、数値実験での現象の再現性が良かったのだが、事例を増やしていく中で、必ずしもうまく再現しない事例が相当数がることがわかった。そのため、実験数を増やして研究を進めている。研究時間は増大しているが、おおむね当初の計画通りの方向で研究は進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた研究成果を論文にまとめて出版することが今後の課題である。特に顕著な2つの事例を中心に、データ解析と数値実験を追加したのち、2024年7月に国際会議発表を行い、その内容を執筆する。
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Causes of Carryover |
国際学会発表1件と論文執筆を次年度に行う予定なので、その経費を残すことにした。次年度には、この2つの目的のために経費を使用する予定である。
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