2023 Fiscal Year Annual Research Report
Tropical stratosphere-troposphere coupling through cirrus and its role in climate change
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19K03977
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Research Institution | Japan, Meteorological Research Institute |
Principal Investigator |
吉田 康平 気象庁気象研究所, 全球大気海洋研究部, 主任研究官 (10636038)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川合 秀明 気象庁気象研究所, 気象予報研究部, 主任研究官 (40601688)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 熱帯成層圏対流圏結合 / 巻雲 / 雲放射効果 / 気候モデリング / 気候変動 |
Outline of Annual Research Achievements |
熱帯の成層圏-対流圏結合変動メカニズムの解明は、1か月~1年程度先の気象・気候予測技術を次の段階に進めるための喫緊の課題であり、その地球温暖化影響も明らかにする必要がある。巻雲は放射過程を通して熱帯成層圏-対流圏結合変動を増幅する可能性があるが、気候予測モデル性能と観測データの不足もあり、その効果は未だ解明に至っていない。本研究課題は地球システムモデルの巻雲再現性を向上させ熱帯成層圏-対流圏結合変動に巻雲が及ぼす影響とそのメカニズムの解明し、その地球温暖化に伴う変化についても明らかにすることを目的としている。 熱帯成層圏-対流圏結合変動について、巻雲の雲放射効果の役割に特に着目して、地球システムモデルを用いた数値実験により調査を行い以下のことが明らかになった。 ①大規模アンサンブル数値実験により、成層圏突然昇温が成層圏対流圏結合を通して台風や対流活動に影響している可能性が示され、熱帯成層圏対流圏結合のシグナルを抽出するのに必要なサンプル数が明らかになった。 ②地球システムモデルの物理パラメーターは下限値など微細な変化がモデルの振舞に大きく影響するため、異なるパラメーターの実験間で熱帯成層圏対流圏結合シグナルの量的な違いを議論するのは困難であることがわかった。この点においては同化などによるモデルパラメータの変更を伴わない感度実験が影響評価に有益となりうる。 ③熱帯対流圏界層領域での巻雲に伴う雲放射効果は平均的にはこの領域を暖める働きをしており、地球温暖化時にこの働きは強まる。同時に成層圏準二年周期振動の下部における振幅を変調させ、それにより熱帯成層圏対流圏結合を変調させている可能性が示された。
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