2020 Fiscal Year Research-status Report
Mechanism of rapid sea surface temperature warming in the Kuroshio region and its impact on coastal environment
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19K03978
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Research Institution | Japan, Meteorological Research Institute |
Principal Investigator |
碓氷 典久 気象庁気象研究所, 全球大気海洋研究部, 主任研究官 (50370333)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
広瀬 成章 気象庁気象研究所, 全球大気海洋研究部, 研究官 (20748074)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 海面水温 / 東シナ海 / 表層水温 / 海面フラックス / 潜熱 / エントレインメント / 混合層熱収支 |
Outline of Annual Research Achievements |
北西太平洋海洋長期再解析データFORA-WNP30を用いて、混合層水温の熱収支解析を行った。1980年代以降の東シナ海の表層水温の変化を調べた。混合層水温の熱収支バランスの主要項の結合EOF解析を行い、第1モードとして符号の異なる海面フラックス偏差とエントレインメント偏差で特徴づけれらるモードを得た。このモードは、夏季の東シナ海陸棚上で卓越し、1980年~1990年代半ばまでは負位相(海面加熱およびエントレインメントによる冷却をともに強める)、1990年代半ば以降に正偏差が卓越するという、特徴的な時間変化傾向を示す。1990年代半ば以降の正偏差傾向は、夏季混合層水温の主要バランスである、海面フラックスによる加熱とエントレインメントによる冷却をそれぞれ弱めるセンスに働く。再解析データと現場観測をより詳しく調べたところ、夏季亜表層水温(50m付近)が顕著に昇温しており、そのことにより成層が弱くなり、エントレインメントの弱化をもたらしていた。また、第1モード正位相時の海面フラックス偏差は、主に潜熱フラックスにより説明されることが分かった。すなわち、1990年代半ば以降、東シナ海の夏季亜表層水温の顕著な昇温によりエントレインメントによる海面水温の冷却が抑制され、大気へ潜熱が放出されやすくなっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、長期再解析データを用いた東シナ海の表層水温の解析に注力した。その結果、東シナ海夏季亜表層水温の顕著な昇温傾向、またそのことにより、夏季に東シナ海上で海から大気に潜熱が放出されやすくなっている、という重要な変化を見出すことができた。このことから、「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
観測データおよび再解析データを用いて、東シナ海の黒潮の変化について解析を行い、東シナ海陸棚域の夏季亜表層水温の昇温への黒潮の寄与を評価する。また、豪雨や台風などの気象顕著現象と結合EOF第1モードとの対応について事例解析等を行う。
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Causes of Carryover |
予定していた外国出張がCOVID-19の影響ですべてオンライン開催となったため、次年度繰り越しとした。繰り越し分は、論文投稿料、ハードディスク代、また実参加可能な状況であれば、外国出張旅費として使用する予定である。
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Research Products
(3 results)