2022 Fiscal Year Annual Research Report
Mechanism of rapid sea surface temperature warming in the Kuroshio region and its impact on coastal environment
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19K03978
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Research Institution | Japan, Meteorological Research Institute |
Principal Investigator |
碓氷 典久 気象庁気象研究所, 全球大気海洋研究部, 主任研究官 (50370333)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
広瀬 成章 気象庁気象研究所, 全球大気海洋研究部, 研究官 (20748074)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 黒潮 / 黒潮続流 / 対馬暖流 / 貯熱量 / 急潮 / 黒潮大蛇行 / 沿岸捕捉波 / 沿岸水位 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本海貯熱量の経年から十年規模の変動メカニズムを調べた。熱収支解析から、経年変動に対しては、対馬暖流による熱輸送、十年規模変動においては、海面熱フラックスがそれぞれ支配項であることが分かった。また、対馬暖流の経年変動は、日本沿岸水位のEOF第1モードと密接な関係があることが分かった。このEOF第1モードの水位変動は、黒潮続流変動と同期した伊豆海嶺周辺の黒潮の南北変動と良い相関関係にあり、そこで黒潮が北上すると沿岸捕捉が励起され、沿岸捕捉葉の伝播により広域の水位が変化し、対馬暖流の流量も変化させることが分かった。さらに、2022年8月に越前海岸において発生した、急潮現象について、沿岸同化モデルを用いて発生要因を調べた。急潮は、丹後半島先端で発生した高気圧性渦が発達しながら東進し、越前海岸付近に強い南向きの流れをもたらしたことにより生じた。2022年の特徴として、若狭湾口における対馬暖流の沿岸分枝が例年より強くかつ沿岸に近接した状態がしばらく持続していた。この流れの強化と沿岸への接近には、その沖側に停滞していた冷水渦が密接に関係していたと考えられる。また、この時、南西風の卓越により日本海沿岸で高水位が持続した状態にあり、このことも対馬暖流の強化をもたらしていた可能性がある。 本課題では、黒潮が東シナ海や日本海等の縁辺海や沿岸域に及ぼす影響に着目し、次のような成果を得た。(1)東シナ海陸棚上において亜表層水温の顕著な高温傾向がエントレインメントを弱化させ、夏季の潜熱放出を強化させる。(2)黒潮と日本沿岸水位の関係、および過去の顕著な異常潮位事例のメカニズム。(3)2017年に生じた黒潮大蛇行の長期化要因。(4)黒潮続流、日本沿岸水位、対馬暖流、日本海貯熱量の同期した変動メカニズムの存在。(5)室戸岬、および越前海岸における急潮現象と黒潮、対馬暖流の関係。
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Research Products
(3 results)