2019 Fiscal Year Research-status Report
巨大地震津波は北海道西部太平洋岸を繰り返し襲うか?
Project/Area Number |
19K03986
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
高清水 康博 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (10446370)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西村 裕一 北海道大学, 理学研究院, 准教授 (20208226)
卜部 厚志 新潟大学, 災害・復興科学研究所, 教授 (20281173)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 津波堆積物 / 北海道 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度は,苫小牧市勇払の低地において野外調査を実施した.この地域ではこれまでに17世紀前半の古津波が知られている(髙清水ほか,2007,2012). 本研究ではそれ以前の古津波履歴の解明を目指してより2地域において古い時代の地層の調査を実施した.苫小牧地域では最大深度5.40 mの掘削を実施した.その結果,約3000年以前と考えられる深度1.5 m層準以深の古環境はラグーン環境であった.明瞭なイベント堆積物は把握されなかった.鵡川地域では最大深度3.6 mの掘削を実施した.その結果,深度2.95mまで泥炭層を確認することができた.深度2.95mの泥炭の放射性炭素年代は約4650-4855 cal yBPであり,この泥炭層中の上位層中の明瞭な津波イベント候補は17世紀津波堆積物以外には確認されなかった. また,苫小牧地域において17世紀津波堆積物の性状把握のために海岸から1.5 kmの範囲までの調査測線を設定し,試料採取を行った.調査地点数は26地点である.各地点においてコアラーおよびハンディジオスライサーによって試料採取を行い,現地において地層の特徴を記載した.その結果,内陸薄層化,内陸細粒化の傾向を把握した.また,沿岸低地の津波堆積物に特徴的な侵食的な基底面形状,侵食同時礫の存在,および級化ユニット等を確認した. これまでに一般的に行われている堆積物の性状把握の手法をさらに高度化するために,本研究では医療用CTを用いた地層の3次元形態の把握やハンスフィールド単位(HU値)による定量的な津波堆積物の特徴把握の試みを進めた.そのために,今年度は地層のCT撮影に最適化した撮影条件を決めた.その結果,0.6 mmスライスの高詳細なCT画像を恵らることが分かった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
3月予定していた調査が新型コロナウィルスに係る移動自粛の依頼により取りやめになった.このため,2年時以降の調査の進行に大きな影響が出る可能性があり,憂慮しているところである.北海道での感染状況は改善されないことには現地へ行くことができないため,研究を進めることが困難な状況にある.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度末に新型コロナウィルスによる影響を受けて実施できなかった苫小牧市における野外調査の実施を進める.また採取試料の各種分析を行う.これまでに得られた成果の関連学会での公表を目指す.
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Causes of Carryover |
研究計画の概要で示した通り,苫小牧勇払地区において深度5.40 mの掘削中,約3000年以前と考えられる深度1.5 m層準以深の古環境はラグーン環境であったため,古津波履歴把握のための調査適地の選定が進まなかった.年度末に継続調査をする予定であったが,新型コロナウィルスにより北海道で緊急事態宣言が出され,かつ所属大学からも強い外出自粛要請があったため,予算の執行が予定通りに進まなかった.
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