2023 Fiscal Year Annual Research Report
噴火が危惧される弥陀ヶ原火山のマグマ供給系―熱水流動経路の解明
Project/Area Number |
19K03988
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
石崎 泰男 富山大学, 学術研究部都市デザイン学系, 教授 (20272891)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 水蒸気噴火 / 弥陀ヶ原火山 / 地獄谷 / UAV / 定点観測 |
Outline of Annual Research Achievements |
富山県・弥陀ヶ原火山は、最近1万年間に繰り返し水蒸気噴火を発生させてきた熱水系卓越型火山である。次期噴火に向けた監視と防災対策をより現実的なものとするため、次期噴火の想定発生場である地獄谷において、以下の研究を行った。 (1)熱水の起源となっているマグマ溜りの位置を特定することを目的に、現在の水蒸気噴火卓越期の直前に噴出した玉殿溶岩について物質学的解析を昨年度も継続して行った。同溶岩の角閃石斑晶の化学組成の追加分析を行い、角閃石圧力計から、玉殿溶岩のマグマ溜りが上部地殻に存在したことが推測された。 (2)地獄谷内の噴気帯の盛衰を、UAV (DJI社製Phantom 4 pro)を用いて継続調査を実施した。その結果、多くの噴気帯での活動は昨年度と同様であったものの、八幡地獄では昨年度活動していた噴気孔の活動が停止し、新たな噴気孔が活動を開始したことが明らかになった。。 (3)地獄谷内の代表的な噴気帯である新噴気帯、紺屋地獄、百姓地獄、八幡地獄及び新大安地獄(計10地点)でタイムラプスカメラによる定点観測を昨年度も実施した。その結果、1946年に小規模な水蒸気噴火を発生させた新大安地獄(小火口)において、火口壁の崩落と火口底の埋積が進行し、ガスの放出が阻害されつつあることが本年度も確認できた。また、昨年度夏に新大安地獄の北側を流れる川の水が消失したため、その原因を探るための現地調査を実施した。流水消失の原因は、基盤の溶結凝灰岩の節理の拡大によるものと考えられ、火山活動には直接関連していないことが推測された。
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