2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of detect method of recent seismic slip in the fault zone of near-surface basement rocks
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19K03991
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
大谷 具幸 岐阜大学, 工学部, 教授 (20356645)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 断層破砕帯 / 根尾谷断層 / 断層ガウジ |
Outline of Annual Research Achievements |
原子力規制庁が岐阜県本巣市根尾水鳥で掘削した根尾谷断層ボーリングのコア試料に関して、粉末X線回折分析を行った。その結果、原岩である露頭試料に含まれる石英、斜長石、カリ長石、雲母粘土鉱物、緑泥石、方解石はその有無が分析を行った試料の間で異なっており、原岩である泥岩は不均質性を有しているとみなすことができる。ボーリングコア試料におけるこれらの鉱物の含有状況は原岩や破砕の違いを明瞭には反映しておらず、原岩の不均質性が断層破砕帯を構成する断層岩の鉱物組成に影響を与えていると考えられる。二次的な鉱物である方解石とスメクタイトは多くの断層ガウジ、断層角礫試料に含まれており、破砕の状況と関連している。方解石は破砕に伴う開口割れ目に流体が侵入することにより形成され、スメクタイトは断層ガウジの形成に伴って晶出したと考えられる。ただし、スメクタイトの形成と初生鉱物の分解は関係していないように見えるので、原岩の不均質性を今後、詳細に検討する必要がある。 また、研磨片試料を作成し、XGT分析を行った。その結果、Cr, Ti, Niの不均質分布が認められた。この結果の考察は、令和3年度に実施するXRF分析の結果を加味して行う予定である。 地表露頭では、根尾水鳥の断層ジョグに露出する基盤岩を変形構造を調査した。ここでは基盤岩として美濃帯付加コンプレックスの泥質メランジュが分布しており、その中にキンクバンドが多数発達している。このキンクバンドには左ずれと右ずれの2種類があり、両者は共役関係ではなく、最近の根尾谷断層の活動と関連するのは左ずれキンクバンドであることを明らかとした。このキンクバンドの変位が根尾水鳥の断層ジョグで26 mの左ずれ変位を受け持っている可能性があり、断層面における変位に加えてわずかではあるが、キンクバンドにも変位の累積が認められることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度前半の非常事態宣言に伴って、各種試料分析の前処理作業を始めるのが遅くなり、その結果、当初予定していた解析や分析が一部を実施できなかった。しかしながら、必要な前処理は現時点で終了していることから、今年度の遅れは次年度中に回復できると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
おおむね当初の計画に基づき、破砕物質の粒径変化、酸化条件に伴う化学組成の変化、地表変位の有無に着目した破砕帯調査を実施する。破砕物質の粒径変化は学内の共同利用施設である粒子径分析装置を用いる予定であり、他テーマの研究でこの装置を令和元年度に使用し、使用方法を習熟できている。酸化条件に伴う化学組成の変化では、蛍光X線分析による元素組成の分析をボーリングコアを対象として今後行う予定である。
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Causes of Carryover |
今年度前半の非常事態宣言に伴って、各種試料分析の前処理作業を始めるのが遅くなり、その結果、当初予定していた解析や分析が一部を実施できなかったために次年度使用額が生じた。現時点までに、必要な前処理は終了していることから、今年度に実施できなかった分析は次年度に問題なく実施できる。
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