2020 Fiscal Year Research-status Report
Coral bleaching and reef micro-environments related to coral reef micro-topography
Project/Area Number |
19K03997
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
松田 博貴 熊本大学, 大学院先端科学研究部(理), 教授 (80274687)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | サンゴ礁 / 白化現象 / 喜界島 / 礁微地形 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,サンゴの白化現象に影響を与える礁微地形や台風等の気象・海象に伴う表面海水温や塩分などの礁微環境の変化やその時間・空間スケールを明らかにするために,サンゴ礁北限域に位置し,近年,白化現象が確認されている鹿児島県喜界島と,比較検討のためにサンゴ礁核心域に位置し,同一島内において白化現象の発現に差異がある沖縄県宮古島を対象として,1)礁微地形,特に礁嶺の発達程度や浅礁湖の規模による浅礁湖内における礁微環境(海水温と塩分・濁度等)の相違の解明,2)気象・海象現象,特に台風の勢力・進路によるサンゴ礁内での外洋水循環の違いと礁微環境の変動とその時間・空間スケールの解明,ならびに,3)浅礁湖微環境の変動に伴う造礁サンゴの白化現象の有無と推移を目的としている.これまで令和元(平成31)年度には,喜界島において異なるサンゴ礁微地形を有する調査地点の選定ならびに礁内への観測機器類の設置・観測を実施し,宮古島では,調査候補地点の選定を行った. 令和2年度には,喜界島に5ヶ所に設置した観測機器類のデータ回収を2回実施し,令和元年7月から令和2年10月末までの海水温変化記録を入手した.それによれば,喜界島内での位置や礁微地形が異なる観測地点では,同一の気象条件においても海水温変化に相違があり,これらの多くは風向・風速が大きく関与している可能性が指摘された.これらの地点においては,現在も観測継続中である.一方,宮古島についてはコロナ感染拡大による移動制限ならびに出張自粛により観測機器設置が叶わなかった.これらについては令和3年度の夏季に,1)礁嶺が近く浅礁湖が狭い環境(白化現象中程度;宮古島東岸域),2)礁嶺が遠く浅礁湖が広い環境(白化現象顕著;池間島北岸域),ならびに3)縁溝の発達がよい環境(白化現象まれ;下地島西岸域)において観測機器設置の予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和2年度は,喜界島におけるサンゴ礁内に設置した観測機器(計5地点)から良好な海水温の連続記録を入手することができ,現在もサンゴ礁内において連続測定を継続中である.これはほぼ当初予定していた地点での四季を通じた海水温データであり,これによりサンゴ礁微地形,ならびに島内の位置の違いによる台風や冬季の北西季節風等による気象・海象の違いによる礁微環境の相違についてより詳細に検討することが可能となった.宮古島については,コロナ感染拡大に伴い観測機器を設置することができず,観測を開始することができなかったが,喜界島の観測記録を基に比較検討に適した地点において,令和3年度に観測を実施することにより,十分に当初目的を達成できると考えられる.したがって,概ね研究は順調に進展しているものと判断される.
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は,令和2年度に引き続き,喜界島サンゴ礁において,観測機器による連続観測を継続すると共に,造礁サンゴの白化現象の有無ならびに種による白化の程度の推移について観察を実施する.また令和元~2年度に得られた観測データについては,気象・海象データとの比較により,サンゴ礁微地形ならびに島内の位置による礁微環境の相違について解析する.また宮古島サンゴ礁においては,令和元年度に選定した調査地点に観測機器を設置すると共に,造礁サンゴの観察を実施する.
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