2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of an internet service to display flooded scenes by 3DCG
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19K04003
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
島田 英之 岡山理科大学, 工学部, 教授 (70268598)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 家屋 / 浸水 / 3D / CG / インターネット / Webブラウザ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,浸水発生時に自宅周辺で実際に起こりうる状況を3次元CGで再現し,一般的なWebブラウザ上で確認できる仕組みを,インターネット上のサービスとして構築することを目的としている。ゆえに,研究開発とサービス提供の基盤を構築するため,2019年度前半は,研究計画に従って基幹となるサーバの導入と設定作業を主に行った。具体的には,学科サーバルームへの設置,無停電電源装置による保護,OSインストール,サーバとして機能するための各種ソフトウェアのインストールと設定作業を研究代表者自身で実施し,サーバがほぼ安定して動作する状態に至った。 本研究の着想となった出来事は,平成30年7月豪雨により甚大な被害を受けた岡山県倉敷市真備町において,事前に正確な洪水ハザードマップが全戸に配られていながら防災に生かされなかったことである。さらに,真備町に関しては,災害時の詳細な記録が多数残されており,CGにより浸水状況を再現した場合の比較が容易と考えられる。そこで,着想の原点に立ち返り,協力関係にある建設コンサルタント企業に相談した結果,真備町一帯の広範な3Dレーザ測量が11月と3月の2回にわたって実施された。その他,サーバ側でのCG生成とデータ圧縮の可能性について調査した。また,大学院生の研究指導として,3D計測に関する撮影装置の製作と距離計測実験に取り組ませ,国内学会にて発表させた。 研究代表者は,本研究課題採択後に個人的に真備町を訪れ,慰霊碑に黙祷を捧げたのちに町内の各所を巡った。そして,市街地についてはもはや災禍の跡を探すのが難しいほどに復興が進んでいることを知った。これは,CGとはいえこの地を再び被災時の状況におこうとしていることの重大さを改めて考える機会となった。心情に十分配慮しつつ,意義のある成果に結び付けたく思う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究課題の応募時には全く予期していなかった大学改組の方針が2019年度内に打ち出され,学科長という役職上,各種方針決定や,各部との調整の業務が大量に生じた。その状況下において,さらに教育活動を行うためには,本研究課題が3年間であることを頼み,研究のエフォートを犠牲にせざるを得なかった。 例年,2月と3月は卒業研究や大学院生の指導が一段落して研究活動に集中できる時期であるが,上述の管理・運営業務の負担に加え,新年度に向けては徐々に新型コロナウイルスの対応に追われることとなった。想定を超える管理・運営業務やコロナウイルス対応は予期できていなかったとはいえ,結果として研究基盤の準備段階にとどまっており,進捗状況は当初の計画よりも明らかに遅れていると認識している。
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Strategy for Future Research Activity |
倉敷市真備町の広域3Dデータを対象に,本研究の3つの「問い」である,(1)時間空間がまちまちなMMS点群を統合し,頻繁な更新・追加・削除に対応するには,どうすればよいか,(2)大量のMMS点群をWebブラウザからの要求に応じて効率よく検索し,圧縮して伝送するには,どうすればよいか,(3)多様な利用環境下のWebブラウザにおいて常に適切な3次元CGを再構築するには,どうすればよいか,についての研究に,当初の計画通り取り組む。特に今年度は(1)(2)に重点を置き,データベースやデータ圧縮技術に関する技術について研究することで,その後の(3)の難易度を軽減できると考える。並行して,被災時の状況写真などの資料を収集し,分かりやすい形でCGでの再現性を評価できるようにしたいと考える。
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Causes of Carryover |
当初,コンピュータ全般を取り扱う業者からサーバの見積を取得し,予算計画を立てた。しかし,発注に際して経理部が選定した業者は大学や企業向けのサーバを多く取り扱う業者であって,予想以上に大きな値引き幅があり,その差額が次年度使用額となった。次年度使用額と翌年度分を利用し,当初予定であるサーバのディスク増設に加えてメモリなどの増設も行い,高性能化と安定化を図りたい。
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Research Products
(1 results)