2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of a new evaluation method for fumarolic activities in active volcanoes with interferometric SAR analysis
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19K04005
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Research Institution | Hot Springs Research Institute of Kanagawa Prefecture |
Principal Investigator |
道家 涼介 神奈川県温泉地学研究所, 研究課, 主任研究員 (00604109)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 干渉SAR / 噴気地 / 火山 / 活火山 / 噴気活動 / 土壌水分量 |
Outline of Annual Research Achievements |
陸域観測技術衛星だいち2号(ALOS-2)が2014年~現在までに観測したSAR(合成開口レーダー)データの干渉解析を実施し、箱根火山の中央火口丘北側斜面に位置する上湯噴気地の地表面変位について解析を進めた。その結果、一部の衛星軌道から取得されたデータにおいて、夏に衛星に近づき、冬に衛星から遠ざかるという年周変動が認められたため、その原因について検討を進めた。 当初、この年周変化の原因は、噴気地の内外における水蒸気量のコントラストに起因をしているものと考え、ALOS-2の観測に合わせて、現地にて噴気地およびその周辺で簡易的な気象観測(気温・湿度・気圧)を継続して実施している。しかしながら、噴気地の内外の気温・湿度の差は想定していたよりも小さく、これだけにより年周変化を説明することは難しいと判断し、新たに土壌水分の計測についても、前年度より継続して実施をしている。また、近年、干渉解析結果からインバージョン的に土壌水分量を推定する手法が提案されており、これを本研究に適用するべく、プログラムを試行的に作成し、同手法が適用できる見込みが立った。 また、上記の実施内容に加えて、箱根火山最大の噴気地帯である大涌谷における過去の地表面変位を得るため、だいち2号の先代の衛星であるだいち(ALOS;2006~2011年に運用)のデータについても解析を進めた。同衛星のデータについては干渉SAR時系列解析と呼ばれる手法を適用した。その結果、大涌谷において局所的な沈降を検出した。この沈降は、噴気地帯下約300mにおける流体の収縮により説明ができた。箱根火山の噴気地帯においては、この様な「かくれ流体だまり」が分布している可能性があり、局所的な地表面変位の原因となっている可能性を指摘した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
箱根火山を対象とした干渉SAR解析についてはほぼ計画通り実施した。本研究課題の申請時においては、干渉SAR解析におけるノイズの原因を噴気地における水蒸気と考え、そこから地上付近の水蒸気量を見積もることを検討していたが、現地において気象観測を行なったところ、年周変化を説明できる様な顕著な気温・湿度のコントラストが得られず、これだけにより年周変化を説明することは困難であることが分かった。現在は、新たに土壌水分に着目をし、箱根火山の噴気地を対象とした現地での計測を引き続き実施している。また、干渉SAR解析結果から、土壌水分量をインバージョン的に推定する手法についても検討を進めており、本地域において。それが適用できる見込みが立った。
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Strategy for Future Research Activity |
箱根火山を対象とし、ALOS-2データの解析を引き続き実施していく。加えて、観測に合わせて、現地にて気象観測および土壌水分の計測を実施し、年周変化の原因について検討を行う。また、干渉SAR解析結果からインバージョン的に土壌水分量を推定する手法を本地域に適用し、その時間変化を求める。その他に、近隣のアメダス観測点のデータも参照し、現地における土壌水分データとの比較を試みる。 また、ALOS-2データについては、観測データ数が蓄積されてきたことから、これに干渉SAR時系列解析を適用し、噴気地帯における地表面変位の検出を試みる。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響により、参加を予定していた国内外の学会がオンライン開催となったため、特に旅費についての支出が無くなった。その分については、論文掲載料の支出や、解析に使用するソフトウェアの購入・保守費用に充てたものの、余りが生じた。余りついては、翌年度分の助成額と合わせて、学会発表および論文の投稿にかかる費用に充てる予定である。
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