2023 Fiscal Year Annual Research Report
Development of a new evaluation method for fumarolic activities in active volcanoes with interferometric SAR analysis
Project/Area Number |
19K04005
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
道家 涼介 弘前大学, 理工学研究科, 准教授 (00604109)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 干渉SAR / 箱根火山 / 噴気活動 / 熱水系 / 地すべり |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、箱根火山における噴気地帯を対象に干渉SAR解析を適用し、同火山の活動に起因する多様な地殻変動・地表面変動の存在を明らかにした。それらの結果の一部は、同火山の熱水系の活動像を理解する上で重要であり、火山活動評価、防災に資する成果を得た。一方で、干渉SAR解析より同火山の噴気活動そのものを評価するという目的については、不確定性が多く、今後の課題として残ることとなった。本研究で、明らかにした具体的な事項を以下に示す。 1)2006-2011年に運用されていたALOS-1のデータから、箱根火山の大涌谷の西側において局所的な収縮現象の存在を明らかにした。これは、かつて活発だった熱水だまりの活動が、衰退している様子をとらえたものと解釈できた。 2)1)と、研究代表者らによる先行研究の結果から、箱根火山浅部における熱水系は、ポケット状の熱水だまりと、そこに流体を供給するクラックにより特徴づけられ、それが複数存在しているという活動像を明らかにした。さらに、この熱水系の活動を特徴づけるクラックの存在は、伊豆半島の衝突に起因する広域のテクトニクスの影響を受けていることも明らかにした。 3)ALOS-2データの解析により、箱根火山で2015年に発生した水蒸気噴火以降、同火山の中央火口丘では、収縮が生じていることを明らかにした。これは、水蒸気噴火時に地下の圧力が抜けたことにより、圧密による沈下が生じたものと解釈された。 4)ALOS-2データの解析により、箱根火山最大の噴気地帯である大涌谷においては、2015年の水蒸気噴火以降、地すべり性の変位が生じていることを明らかにした。この地すべり変位は、既存の地すべり面上において滑りが生じているものと解釈され、噴火後に地下からの流体の供給が増えたことが、その滑りを誘発した可能性がある。
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