2019 Fiscal Year Research-status Report
海洋マントルの加水反応がプレート沈み込み開始に与える影響の解明
Project/Area Number |
19K04015
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
平内 健一 静岡大学, 理学部, 准教授 (10633290)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大内 智博 愛媛大学, 地球深部ダイナミクス研究センター, 講師 (60570504)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | プレートテクトニクス / マントル / 含水鉱物 / 変形実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
海洋プレートの沈み込み開始時における断層弱化機構を明らかにするべく、SPring-8の放射光X線を用いてかんらん岩試料の熱水変形実験を行った。研究成果の概要は以下の通りである。 1. 単純ずりのジオメトリーで行った実験では、剪断歪の増加にしたがって試料内にY面やR面などの複合面構造が発達した。それらの剪断帯(幅10 μm以下)内には蛇紋石や滑石などの含水鉱物が新たに生成していた。 2. 放射光X線を用いたその場応力測定(含水量は数10 wt%)は、かんらん岩試料の差応力がわずか100 MPa程度であることを明らかにした。また、一部の実験では変形(時間)の進行とともに差応力がわずかではあるが増加し続ける傾向を示した。以上の結果は、カプセル内に封入された水(非排水条件)が著しく高い間隙水圧を発生させたことにより、著しく低い有効圧力下での変形実験となったことを示唆する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
SPring-8での放射光X線を用いた変形実験について若干の問題が生じている。実験時間に限りがある(17時間以下)ため、含水鉱物の形成を促す化学反応を十分に起こすことができない。現在、愛媛大学にある同型の装置を試料して、より長時間の実験(30時間以上)を行うことを計画している。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き愛媛大学とSPring-8に設置された変形DIA装置を用いて、かんらん岩試料の変形実験を行う。変形後の試料内に新たに形成された含水鉱物について、その具体的な変形機構を明らかにするべく、電子線後方散乱回折法による結晶方位解析を実施する。
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Research Products
(10 results)