2019 Fiscal Year Research-status Report
遠地実体波の解析による大地震の断層面形状とすべり分布の同時推定手法の開発
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19K04030
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
八木 勇治 筑波大学, 生命環境系, 教授 (50370713)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
深畑 幸俊 京都大学, 防災研究所, 准教授 (10313206)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 震源過程 |
Outline of Annual Research Achievements |
大地震の破壊がどのように成長していったのかを記述する震源過程モデルは、震源の物理を議論する上で基礎情報となっている。震源過程モデルを構築するために必要な観測データは地震観測網の整備により質量共に着実に進歩している。一方、多くの震源過程解析では、旧態依然として一枚もしくは少数の平面上で断層すべりが発生すると仮定して解析しており、データの向上に見あう解析手法の高度化がなされていない。仮定した断層面が真の断層面とずれていると、モデル誤差が大きくなり、得られる解には当然バイアスがかかってしまう。このモデル誤差によって生じる問題は、データの質量の向上に改善に伴い、深刻な問題になりうる。 本来、良質な観測データは断層面形状の情報を有している。そこで、本研究課題では、断層すべり分布と共に一般には曲面として表される断層面形状も同時に推定する手法を開発する。初年度では、まず単純な断層面形状を仮定してその面上でモーメントテンソルの時空間分布を求めたときにどのような課題があるのかを数値データを用いたテストしたところ、新手法が想定していたよりも優れた解析手法であることを確認できた。さらに、断層が屈曲して、単純な平面を過程した場合の遠地実体波を用いた震源過程インバージョンの結果と衛星データの解析で得られた結果が異なる2013年Balochistan地震(Mw7.7)に新手法を適用した。その結果、遠地実体波のみの解析で、衛星データから得られる断層の屈曲やすべり量分布と調和的な結果が得られることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
数値実験や実データへの適用により、提案した解析手法が、想定していたより上手く機能することが確認できたから。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度開発した手法を基に、単純な断層面形状を仮定してその面上でモーメントテンソルの時空間分布を求め、得られたモーメントテンソルが示す断層すべり方向と整合になるように断層曲面の形状を逐次更新していく手法へと拡張する。
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Causes of Carryover |
研究は順調に進行した。一方で、交付決定額が十分に確保できなかったため、今年度予定していた出張等の出費を抑制し、次年度に購入予定である計算機の予算の確保を優先した。
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