2023 Fiscal Year Research-status Report
Reproducing dynamic earthquake rupture processes by large scale simulations
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19K04031
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
安藤 亮輔 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (10455256)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊田 明弘 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 付加価値情報創生部門(地球情報基盤センター), 副主任研究員 (80742121)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 地震発生 / 動的地震破壊 / シミュレーション / 大地震 / 内陸型地震 / 活断層 / 階層行列法 / モデル検証 |
Outline of Annual Research Achievements |
地震の発生過程を物理モデル化するためには,弾性波動場の放射と伝播を考慮した,完全動的破壊シミュレーションを行うことが重要である.本研究では,数値計算コストが高い完全動的破壊シミュレーションについて新しい準オーダー1乗(O(N))アルゴリズムの開発を行うことと,動的破壊シミュレーションのモデル化手法の開発と実観測データを用いた検証を行うことを目的としている. 数値計算手法の開発については,時空間境界積分方程式法をベースとしたFDP=階層行列法のアルゴリズムを,従来の2次元問題から3次元問題へ拡張,実装し,数値計算精度と計算効率化の評価を行った.階層行列法では,積分核(グリーン関数)における距離減衰の特性を用いた近似により数値計算の効率化を行っているが,精度評価の結果,3次元問題においても高効率化は達成されることが分かった.その一方で,3次元問題に特有の積分核の高次の非一様性が距離減衰に還元できないため,2次元問題と比して近似精度の収束性に劣ることが示唆された.この点を解決する近似アルゴリズムの開発が検討課題として明らかとなった. 動的破壊シミュレーションのモデル化手法の開発と検証については,2023年トルコ・シリア地震を対象とした解析を行った.地震前に得られるデータを用いてモデルを拘束して,どの程度地震時の観測データがシミュレーションにより再現されるかが検証問題となる.今回の地震では地震時変動が地震計観測網と合成開口レーダ観測により詳細に得られた.断層トレースのデータを用いて3次元断層形状を構築し,地震前の微小地震解析により得られた広域応力場データを用いて初期応力条件を与えた.シミュレーションの結果,動的な破壊過程の大局的特徴を再現することができた.特に,分岐断層から発生した破壊が,主断層上で約15秒の遅延を伴いBilateralに伝播したという観測を再現したことが特筆される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで,モデル構築とシミュレーションの実施については概ね予定通りに進捗している.新規アルゴリズムの開発については,一定の成果を修士論文としてのとりまとめを行ったところであり,改良手法の検討が完了したところで原著論文を取りまとめる予定である.2023年トルコ・シリア地震の再現計算とモデル検証の結果は,国際学会において発表しており,国際誌へ投稿準備中である.
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Strategy for Future Research Activity |
概ね計画通りに進んでいるので,この方向で研究を推進する.大学院生に技術継承することで,持続的に研究を遂行する.
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Causes of Carryover |
データ蓄積のためにファイルサーバの購入を予定していたが,共用大型計算機のストレージが一時的に確保できていたため購入を遅らせていたが,本年度に購入してデータ解析を加速させる.結果のとりまとめにやや時間を要していたため,海外での学会発表を後ろ倒しにしていたが,本年度に実施するために海外旅費を用いる.
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Research Products
(4 results)