2019 Fiscal Year Research-status Report
Seismicity modulated by stress changes below 1kPa: From global to local scales
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19K04036
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
三井 雄太 静岡大学, 理学部, 講師 (80717950)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | GNSS / 地震活動 / 機械学習 / スパースモデリング |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、地震活動と比較する上で重要な、地表変位データの解析のための基礎技術開発を主に行った。具体的には、衛星測位システム(GNSS)の時系列データに対して、(1)機械学習技術、(2)スパースモデリングによる逆解析技術の導入を進めた。 S/N比が大きい地表変位イベントの例として、2011年東北地方太平洋沖地震の余効変動を機械学習のテストケースとした。機械学習技術の1つである再帰型ニューラルネットワークを余効変動の時系列データに適用し、余効変動の時空間的発展の特徴を抽出することに初めて成功した。この成果は、Geophysical Research Letters誌から査読付論文として出版された。また、この余効変動と地震活動(余震)との時間減衰特性の違いを4桁の時間スケールにわたって比較したところ、2011年東北地方太平洋沖地震に関しては両者が乖離していたことを発見した。具体的には、地震活動が余効変動より早く収束する傾向が見られた。これは、単純な1枚断層を仮定した従来の摩擦力学モデルから予測される結果とは逆の傾向であり。この成果は、Earth, Planets and Space誌から査読付論文として出版された。 スパースモデリングによる逆解析技術については、富士山の火山性変動をテストケースとした。2008-2010年頃に見られた膨張の力源の深さ推定に成功し、その後の地震活動との対応関係を議論した。この成果は、Journal of Volcanology and Geothermal Research誌から査読付論文として出版された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、機械学習やスパースモデリングによる逆解析といった技術の導入により、地表変位の観測データと地震活動を比較するための足掛かりを開拓した。これは、地震活動と比較するために、当初の研究計画で想定していたより質・量とも豊富なデータを使用可能とするためのプロセスである。 一方で、外力による地震発生確率の変動を評価するためのモデル構築については、特段の進展がなかった。こちらについては、元々の研究計画でも後半年度の実施予定であったため、問題ではないと考えられる。 以上の点から、本研究計画の進捗はおおむね順調であると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究計画では、地下の断層にかかる小さな一時的外力が地震を誘発する現象をターゲットとしている。このための統計的な解析手法について、引き続き新規開発を行うと共に、重力や降雨量など多種の時系列データへの適用を進めていく。 外力による地震発生確率の変動を評価するためのモデル構築については、地震発生物理分野における最新の理論的・実験的研究の文献調査を進め、具体的な方向性を定める。現在のところ、複数の断層が配列した断層帯全体の外力応答という観点が重要と考えている。 また、ある領域を対象とした予察的な研究により、地表付近でない深部における地震活動変化と地表変位の非定常イベントとの間に、時間的同期が見られた。計画の立案段階では地表付近の地震活動のみを調査対象としていたが、調査対象をより幅広く取る方向に修正を行う。
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Research Products
(16 results)