2020 Fiscal Year Research-status Report
Seismicity modulated by stress changes below 1kPa: From global to local scales
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19K04036
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
三井 雄太 静岡大学, 理学部, 講師 (80717950)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 地震活動 / 地殻変動 / スロースリップ / 沈み込み帯 / 深発地震 / スローイベント |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、プレート沈み込み帯深部における地震活動の消長について、グローバルな地震カタログデータとEpidemic-Type-Aftershock-Sequenceモデル(ETASモデル)を用いた調査を行った。その結果、深発地震活動が世界でもっとも活発なトンガ海溝沈み込み帯において、浅部で発生したM8.1の正断層地震(2009年サモア沖地震)後に深発地震の一時的な活動低下が生じていたことを見出した。同時期を含む期間の地表変位について、トンガ海溝周辺の衛星測位システム(GNSS)観測点の時系列データを確認したところ、2009年サモア沖地震の震央より500 km以上南方の観測点において海溝方向の非定常変位が数年にわたって発生していた。3次元粘弾性シミュレーションを用いて検討したところ、同変位を2009年サモア沖地震に対する標準的な余効変動として解釈することは困難であった。観測点がごく限られているため空間分布についての詳細な議論は不可能であったが、深発地震の活動低下と時期が重なっていることから、沈み込み帯の広域にわたる大規模なスローイベントの発生が示唆された。このスローイベントは2009年サモア沖地震の直後から始まり、2013年の稍深発地震(M7.4)発生頃に収束している。これらのイベント間の静的応力変化はごく小さいはずだが、海洋プレート由来の流体等を介した相互作用の可能性も考えられる。この成果は、Scientific Reports誌から査読付論文として出版された。また、地表変位データを例としたクラスター分析手法について検討を行い、ソフトクラスタリング法の導入を行った。この成果は、地震誌から査読付論文として出版された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、地震活動と地表変位の観測データをそれぞれ適切に解析し、結果を照らし合わせることで、新たなスローイベントを発見することに成功した。これは本研究計画における重要な成果と考えられる。引き続き、実際のデータ解析に軸を置いた研究を進めていく。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究計画の柱は、地震活動の解析である。このための統計的な解析手法について、プログラムの効率化・パラメータ推定法の改善等を進めている。現在、南海トラフ沈み込み帯のプレート境界周辺の地震活動について予備的な解析を行っている。各種スロー地震やプレート境界固着との時空間的対応を調査し、本研究計画の総括としたい。
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Research Products
(16 results)